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小説BADOMA 血塗られた伝説 1/5

  • G-19〜20 (ハイファンタジー)
  • しょうせつばどま ちぬられたでんせつ ごぶんのいち
  • 野間みつね
  • 書籍|A5
  • 124ページ
  • 450円
  • 2015/03/01(日)発行
  • 表紙・人物紹介画 高井玖実子(タカイクミコ)

    どうだい、君も、明日あした
    私たちと一緒に行かないか。


     ランガズム大陸の北の果て、カナルネアの町に立ち寄った若き吟遊詩人シフォロンは、夕食を摂っていた居酒屋で、客同士の起こしかけたトラブルを歌の力で収める。真の勇者の称号“ヴィルシャナ”を目指す自由騎士イスファムから“王の試練”に挑戦する旅へと誘われて同意した彼は、その後、トラブルの一方の当事者であった青年黒魔道師にも声を掛けたが……

     1990年に株式会社アスキー(当時)から発売されたMSXコンピュータRPGコンストラクションツール「Dante」に収録されていたサンプルゲーム『BADOMA 血塗られた伝説』を、頼まれもしないのに(汗)ノベライズした作品。
     全5巻予定で、1990年から完全受注生産コピー本として刊行開始。1993年に3巻を出したところで休眠に入り、長らく幻の作品状態になっていたが、突如として復活(汗)。
     勿論、元ゲームを欠片も御存じない方でも、普通に“何か「剣と魔法」のファンタジーっぽい”作品として読むことが可能

     全巻完結しました。
     続刊情報等は、こちらの概要アイテムを御参照ください。

     === 以下抜粋 ===

    「僕も目的は持っていますけど、おまけみたいな存在ですし」
    「あら、そんなことないわ」
     彼の横で膝を抱えていた元王女ロココ・リナが口を挟んだ。
    「メルカナートのおかげで、あたし、随分と、何処どっかの誰かとの不毛な争いから救われる気分になるもん。あなたのハンサムは、とーってもとっても大きな存在意義を持ってるわよ」
    「……ふん、ハンサムでなくて悪かったな」
     彼女のはす向かいで、黒魔道師タンジェが鼻を鳴らす。
    「メルカナートは別にして、人を見てくれで判断してると、いつか痛い目に遭うぜ」
    「だーって、あたし、メンクイなんだもーん」
    「ふん。じゃあ、性格のいい醜男ぶおとこと性格の悪い美男だったら、どっちを選ぶってんだよ」
    「どっちもやあよ。でも、どーしても、って言われたら、ハンサムの方よ」
     けろっとして、ロココは応じた。
    「だって、性格は改善の可能性あるけど、顔は直らないもん」
    「て、てめーって奴だけは……」
    「何よ。性格ヒネクレてる上にハンサムじゃない誰かさんに、とやかく言われる筋合はないわ」
    「……」
    「タンジェ、何だかんだ言って、ホントはロココのこと気に入ってるんじゃない?」
     言い返すのを諦めたように押し黙ったタンジェに、タロパの戦士クニンガンが笑いながら訊く。
    「なに? 冗談じゃないっ! 俺の好みはなあっ、第一に出しゃばらず、第二にギャーギャー言わず、第三にお荷物にならず、要するに──」
     勢いで一気に言いかけたタンジェは、ハッと口をつぐんだ。何処か、うろたえているようにも見えた。
    「要するに何なのよ! あたしが出しゃばりでうるさいお荷物だって言うんでしょ!」
    「……そう言うつもりじゃなかったんだが」
     タンジェは、垣間見せた狼狽から素早く立ち直り、しれっとした顔でロココを斜めに見遣った。
    「そんだけ自分で自覚してるんなら、上等ってもんだ」
    「よ、よっくもよくも……もー許さないっ!」
    「──FIXA」
     ロココの手が剣のつかに掛かるのを見るや、タンジェは右手の指二本で素早く印を切り、ぼそっとひとこと呟いた。
    「──!」
     抜こうとした剣が鞘から抜けず、ロココはカッとなった。魔法で封じられたのだと悟った時、とうとう感情のたがが外れた……。
    「……あーあ」
    「泣かしちゃった」
     アクラナの戦士アクラと、クニンガンとの嘆息とが、同時だった。
    「駄目だよ、女の子泣かしちゃ」
    「べ、別に俺が泣かせたわけじゃ……剣なんか抜こうとする方が……」
    「あんたが悪いのよおっ……あたしのことお荷物だって……そりゃあたしは女だし……剣だってそんなに巧くないし……でも、お荷物だなんて……」
     しゃくり上げながら、ロココがなじる。
    「だからって泣くこたないだろうが! 畜生、女って奴は泣けば勝ちだなんて思って……」
    「馬鹿っ……馬鹿馬鹿馬鹿っ、あんたなんて……だいっ嫌いよっ」
    「……つ、付き合ってられるかっ」
     タンジェは不意にプイッと立ち上がると、輪から離れて森の奥の方へ早足で行ってしまった。
     それをじっと見ていた吟遊詩人シフォロンは、ゆっくりとロココに声を掛けた。
    「……ロココ、君も悪い。私たちは、今は、共に旅をする仲間だ。いや、仲間に限らないが、たとえ気に入らないことがあっても、いきなり剣に訴えようとするのは、感心出来ない。……これは、いつか君が王国を復興しようとする時にも、同じことが言えると思うよ。剣や魔法は、最後の手段だ。矢鱈と使っていいものじゃない。……わかるだろう?」
     静かなシフォロンの言葉を聞く内に、ロココの涙も治まってきた。彼女は目を擦りながら、黙って頷いた。
    「ごめんなさい……」
    「私に謝っても仕方ないよ」
     シフォロンは苦笑した。そして、振り返ると、やや考えるような目をしていたが、腰を上げた。
    「ちょっと行ってみる。……後を宜しく」
     そろそろ、月が中天に懸かろうとしている。
     シフォロンは辺りを見回しながら歩き、やがて泉のほとりで、捜していた相手を見付けた。タンジェは、木の上に居た。太い枝に足を投げ出して、幹に背を預けていた。
    「……俺だって、好きであいつと言い合うわけじゃない」
     シフォロンが木の下に寄っていくと、いきなり前置きなしに、タンジェは言葉を発した。
    「わかってるよ」
     シフォロンは微笑を浮かべた。
    「どういう形でかは人それぞれにしろ、何らかの形で人が世話を焼きたくなってしまうようなところが、ロココにはある」
    「……ああ」
     渋々といった風に、タンジェが頷く。
    ほうっておけないっていうか……一々気に障るっていうか……俺は、ああいう風にしか言えないんだ」
    「ロココはきっと、君に魔法を掛けられたのがショックだったんだよ」
     シフォロンは幹に寄り掛かりながら言った。
    「あれは正当防衛だぜ。それに……剣と鞘に〝固着〟の術を掛けただけで、あいつに直接掛けたわけじゃない」
    「剣は、王国滅亡以来各地を転々としてきたっていう彼女の、立派な一部だと思うよ。魔道が君の一部であるのと同じように」

         ───「第二章 旅の仲間」より

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