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遠きが故に −ミディアミルド物語 6−

  • G-19〜20 (ハイファンタジー)
  • とおきがゆえに
  • 野間みつね
  • 書籍|A5
  • 172ページ
  • 600円
  • 2013/01/27(日)発行

  • わたし、死のうなんて少しも思わない。一日でも長く生きて、一日でも長く、愛する人の傍らに居たい。顔を見て、声を聞いて、言葉を交わして──触れていたい。少しでも長く。


     マーナとレーナの国境の村ステイクで倒れ、辛うじて救出されたが仮死状態に陥ってしまったミディアム・サーガ。長老候補ソフィア・レグは、目を覚まさぬミディアムをエルの町まで移送してみたものの、快復の手立てを掴めずにいた。そこへ、ひとりの優れたくすがふらりとエルに姿を現わした、という知らせが飛び込んでくる……

     野間みつねが高校生の頃から手掛けている、謂わば“準ライフワーク”的な、架空世界の歴史物、第6巻。

     === 以下抜粋 ===

     二日後、ソフィア・レグは、クピー・ニルグリス達と共にしゅったつしていった。
     薬師ダランドー・ロンは、それ以降も二日置きにミディアム・サーガのもとへ顔を出してくれたが、早春第四月のじゅんはいってもない二十一の日に、「そろそろエルを離れようと思います」と告げに来た。
    「あなたの症状も最初に比べて随分落ち着いてきましたし、私がずとも問題ない筈です。このまま熱の上がり方が緩やかになれば、来月、春の長雨ながあめの季節が過ぎてから、体調と相談しつつ都へ戻られるとよろしいでしょう。但し、常人なら確実に命を落とした状態からの快復というのは前例のないことで、だんは許しませんので、くれぐれも無理はなさらぬよう」
    「有難うございます、名医マジャリテダランドー」
     ミディアムは、何となくかしこまって頭を下げた。
    「それで、そろそろ体を動かすのは構わないでしょうか。歩くのだけは、マジャリテに言われた通り、毎日続けているんですが……何だか体の筋肉が落ちてしまったような気がして」
    「熱のない時なら、寧ろお勧めします。ただ、少しでもおかしいなと感じたら、そこで必ず休息を入れて、大事を取ってください」
    「わかりました」
    「では、ひとまず此処でお別れです、グルーグラス殿。武官のかたではなかなか難しいとは思いますが、お体を大切に」
     静かにいちゆうするダランドーに、ミディアムは「あ、あの」と言葉を掛けた。
    「ひとつだけいてもいいですか、その──最初お目に掛かった時から、ずっと引っ掛かっていることがあって」
    「おや、私にですか」
     げんそうに顔を上げたダランドーは、僅かに首をかしげる。ミディアムは「はい」と頷き、言葉を続けた。
    「マジャリテは、マーナのケーデル・フェグラムに、余程の遺恨があるんですか」
     そのといを聞くと、ダランドーは一瞬絶句したような表情を浮かべた。が、やがて小さく苦笑いし、かぶりを振った。
    「……遺恨と言うほどのものは、ありません。ただ、近年関心を持って、それとなく噂を耳にれるようにしていた相手でしたから」
    「ですが、マジャリテの様子を見ていると、失礼ですが、関心を持っていたという程度には見えなくて、その──あいつに恨みを持っているぐらいじゃないと、ああいうふんにはならないんじゃないかと思えて、何だか凄く引っ掛かって」
    「……グルーグラス殿の方こそ、何故、それを気になさるのですか?」
     ダランドーのはんもんは、奇妙に、ひんやりとしていた。ミディアムは気圧けおされるものを感じたが、黙りこくるのもせいじつな気がして、自分の引っ掛かりをどうにか相手に伝えようと、けんめいに言葉を探した。
    「あいつは……多分、他人から恨まれても仕方ないことはいっぱいやってきたんじゃないかと思います。自分で、偽善者と呼ばれるくらいならにんにんと呼ばれる方がいいって言い切るぐらいだし。でも……一度も会ったことがない相手からまで恨まれるような感じはしないんです。だから、マジャリテが、あいつの話題が出ると、ひどく冷ややかなのに無関心じゃない、恨んでるんだろうかとしか思えない様子になるのが、不思議で仕方なくて」
    「……私の質問の意図いとが、巧く伝わらなかったようですね」
     ダランドーは何処か苦笑気味に呟いた。
    えてきついことを言えば、仮に私がケーデル将軍を憎んでいるとしても、グルーグラス殿には何ら関わりのないこと。グルーグラス殿とて、ほど、彼に対して山のような遺恨が出来たのでしょう。それなのに、どうして、彼が私から恨まれているのかどうかなど気になさる必要があるのですか?」
     問われて、ミディアムは途方に暮れた。

         ───「不本意なる休養の始まり」より

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