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垣間見る未来 −ミディアミルド物語 8−

  • G-19〜20 (ハイファンタジー)
  • かいまみるみらい
  • 野間みつね
  • 書籍|A4
  • 188ページ
  • 700円
  • 2014/02/17(月)発行

  • ……運命をつかさどる女神アルケリアよ……
    父を知らぬこの子らが、父とまみゆる日は、
    ありやなしや?


     クピー・ニルグリスは、バタールの戦いで負った傷の癒えぬジス・エルミを伴い、故郷であるムグロールへと赴く。しかし、その転地療養の真の意図は、ジスではなく、クピー自身の体調に因るものであった。翌年の初夏、そのクピーからムグロールへ呼び出されたミディアム・サーガは、辿り着いた宿場町ケイで、驚きの光景を目にすることになる……

     野間みつねが高校生の頃から手掛けている、いわば“準ライフワーク”的な、架空世界の歴史物、第8巻。

     === 以下抜粋 ===

    (……大人おとな以上に、まわりの大人達のの心を察して警戒しているのか、と思わせられる……)
     ミグには、子供らしからぬそのづかいの仕方が何処か不憫な気もしてしまう。無論、彼らが殊更ことさら、周囲の顔色をうかがうような様子を見せているというわけではないのだが……
    「よげんしゃ、ミグ、さま、ぼくらのしょうらい、みてくれるのですか? おかあ……ははが、いってました」
     兄リスティが、きょう津々しんしんといった表情で問い尋ねてくる。
    「はい。見えるかどうかはわかりませんが……見てみたいと思います」
     対面する相手によっては何も見えてこないことがあるので、一応ミグはそう言っておいた。だが、クピーに連れられて東の離れにやってきたあか達を初めての当たりにした時に覚えた〝予感〟からして、恐らく何かが見えてくるだろうとは予想していた。
     両膝を突き、向かい合う子供達の目をのぞき込む。
    「……ふたり共、私の手を取ってください」
     両手を差し出すと、双子は戸惑ったような顔を見せた。
    「あの……にぎっていいの?」
     弟ランディが、やや恐る恐るといったぜいで質問する。「はい」と微笑むと、ふたりはほおこうちょうさせた。
     思い切ったように、リスティが左手を、ランディが右手を、それぞれきゅっと握ってくる。
     瞬間──
     ミグは、胸を衝いた衝撃に、軽く身をこわらせた。
    (これは──何)
     胸に落ちてきた感覚は、ずしりと重い〝ざわり〟を持っていた。悪い予感とか嫌な予感とか、単純に色分け出来るようなものではなく、はっと立ち止まり、黙然もくねんこうべを垂れてしまう、ひどくそうちょうな感覚であった。
     その重みに向き合い、心を研ぎ澄ますと、感覚は程なく言葉に変じた。
    (──ひとつの大きなしゅうえんに立ち会う子ら──看取みとりしのちに、各々おのおのの道を選び取る)
     ミグは、ほっと息をついた。余り具体的な言葉にはならなかったが、それは、見えた未来がかなり先のものであることを物語っていた。
     双子が、げんそうな目で見守っている。ミグは頬に笑みを刻むと、彼らのあくから自分の両手を取り戻した。
    「……とても大きな〝終わり〟に、あなた達は立ち会うことになります」
    「おわり? なんの?」
    「それは、まだ、わかりません。けれども、何かしら、ひどく大きな意味を持つ〝終わり〟です。……その〝終わり〟をふたりで見届けた後で、あなた達は、それぞれ別々の道を選ぶことになります」
    「べつべつ……? おにいたんと……はなれるの?」
     不安げなランディの目を覗き込み、かぶりを振る。
    「別々の道を選ぶ、というのが離れ離れになることにつながるのかどうかは、わかりません。私に見えたのは、あなた達がそれぞれに自分の道を選ぶ、ということだけなのです」
    「……よく、わかんない。ごめんなさい」
     しょんぼりとした様子で、リスティが呟く。
    「よくわからなくて当然です。私が見たのは、とても遠い将来の出来事のようですから。……余りにも先の事柄は、殆どの場合、はっきり、何がどうなる、と伝えられるほどの言葉には、ならないのですよ」
     ミグはそう告げた後で、ふたりに微笑み掛けた。
    「私こそ、よくわからないことを言ってしまってめんなさいね。おびに、もし今、将来こうなったらいいな、と思っていることがあったら、その願いが近い将来に実現するか……願いがかなうかどうか、ためしに見てみましょう」
    「おねがいごと、かなうか……みえるの?」
    「見えないかもしれませんけれど、アルケリア様に、どうか見せてくださいとお願いしてみましょう」
     双子は顔を見合わせた。何事かの了解が無言の内になされたのか、お互いの表情が同じような揺らぎを見せる。
     だが、どちらも何故なぜか、口をひらこうとしなかった。

         ───「垣間見る未来」より

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