仔猫ちゃんといっしょ その3 決闘しましょ
宇宙警察官クラムゼン・サー・ロレングラムは、赴任先チキューにある大学の構内を歩いていた。今日は午後の授業が無いので、帰り道で同居人の少年・佐藤偲と待ち合わせる予定になっている。検査の終わったプリンセス探査機を一緒に試してくれるという、少年の有難い申し出によるものであった。
そんなわけで、本館前の広場をゆっくりと歩いていると。目の前から見知った顔が歩いてきた。
見知った顔といっても、赴任して間もないチキューの知り合いではない。偉大なる母星・オゴーンでの知り合いであった!
紛れも無くオゴーン製の衣服を着用し、マントを風になびかせながら威風堂々と歩いてくるその男は! かつての学友・ルスメルート・サー・メットルンザであった!
こんな辺境になぜ、彼が? 宇宙警察官でもないのになぜ、わざわざ未開の惑星にいるのだ? という気持ちで、クラムゼンは立ち止まった。ルスメルートはクラムゼンから半径一メートルの所で立ち止まる。コンマ二秒程悩んでから、クラムゼンはまず普通の挨拶をしてから疑問をぶつけようと、決めた。
「ルスメルート殿、久方ぶりであるな」
端正な顔に親しみを込めて微笑み、挨拶をしたのだが。オトモダチは風で揺れるマントを手で払い、言った。
「決闘だ、クラムゼン殿!」
開口一番ずいぶんな挨拶だと、騎士クラムゼンは思った。ちなみに、クラムゼンはチキューの大学生風の服を着ているので、剣は持っていない。ルスメルートの腰にも、武器は無かった。たぶん、入星窓口で没収されたのだろう。
コンマ五秒程悩んでから、クラムゼンは相手に合わせて母星風に対応することに決めた。
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