空の上にあるのは
紅茶から湯気が出ている。上へ上へと立ち上る湯気。
空の雲は、水が煙になったものだという。じゃあ、紅茶の湯気がどんどん空に昇っていったら雲になるんだろうか。その雲は紅茶の味がするかもしれない。
小学校に上がったばかりの坊やは、科学の図鑑に書いてあった雲の知識と、そこから展開される自説をうさぎのぬいぐるみに向かって述べた。
勿論、言葉は拙いもので、子供部屋の皆が理解するためには、当の科学の図鑑の解説と意訳が必要だったのだが。
紅茶の湯気が紅茶味の雲になるのなら、ココアの湯気はココア味の雲になるし、オレンジジュースを沸かせばオレンジ味の雲が出来るはず。
「一緒に手伝って」
そう言って、坊やはうさぎのぬいぐるみを紐でお腹にくくりつけ、毎日、何がしかの飲み物のカップをかかえて庭に出た。
こちらのブースもいかがですか? (β)
エウロパの海 灰青 三日月パンと星降るふくろう おとといあさって 酔庫堂 チャボ文庫 バイロン本社 おざぶとん Our York Bar 花うさぎ