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【火氷本】He was blind.

  • D-24 (2次創作)
  • ひーわずぶらいんど
  • かみむら おうか
  • 書籍|A5
  • 66ページ
  • 600円
  • http://www.pixiv.net/novel/sh…
  • 2014/1/26(日)発行

  • 長めのサンプルはこちら

    氷室と火神のアメリカ時代の話です。
    小学校から中学校まで。火神が氷室に一方的にわんわんぐるぐるしている話です(※付き合ってません)。
    ほっぺとでこちゅーくらいは出て来ますが、アメリカの話なので挨拶レベル。
    火氷の家族が出てきたり、火氷のアメリカ時代の友人が出てきたり、火神に彼女ができたりとオリジナル設定満載です。
    火神が氷室以外と付き合うのが苦手な方はお気をつけください。
    またショタ氷室が出てくるので(?)、いかがわしいことを想起させる描写もあります。ど健全を求める方は避けて頂いた方がよろしいかと思います。

    本文サンプル *******************

    ------------------------------------------------------------

    ■九歳、十歳 (冒頭抜粋)



    「今日はここまでにします」

    教師の言葉に、クラスメイトは次々と席を立った。そんな中、タイガは記憶を頼りに書き出したノートを眺めていた。歴史と生物はレポート、語学はエセーとジャーナルとサマリーにWEB問題集。

    これはまずい。非常にまずい。

    これらを明日まで終わらせて、明後日の金曜日に提出しなければならない。

    あと4日あると考えていた月曜日に、戻れるものなら戻りたかった。


    タイガはすべての授業をESLで受けていた。

    ESLは英語を第2言語とする生徒を集めて授業を行うクラスである。現地の小学生が通常受けている授業の内容を、分かりやすい英語に噛み砕いて教えてくれる。クラスメイトの出自も韓国、中国、インド、メキシコ、ブラジルなどさまざまだ。

    つい三ヶ月前まで日本で生活していたタイガは、ヒヤリングもライティングもアメリカの幼稚園児以下だった。そのため、まず初級ESLクラスに入れられた。そこでは英語の歌を覚えたり、簡単な英単語を覚えた。宿題も単語の書き取り、幼児向けの本の音読程度だった。そのレベルは楽勝だった。

    初級クラスの卒業試験をクリアし、今月からは中級クラスへ移動となった。宿題の量が一気に増えた。問題集や書き取りは、帰宅してから取り組んでいた。だから数学と英単語は終わっていた。レポート系の宿題は、図書館に行って調べなければならなかった。それが億劫で、あと4日以上あるしと考えて、後回しにしてしまっていた。語学のWEB問題集は、やらなければやらなければ、と思いつつ、できていなかった。


    クラスメイトに混じって教室を出た。自然と歩く肩が落ちていた。

    その垂れた肩を、誰かが軽く叩いた。

    「ハイ、タイガ」

    タツヤだった。2ヶ月前に知り合った、タイガと同じ日本人だった。

    「アーユーファイン?」

    「のー、あいむのっと……」

    「そうみたいだね。宿題?」

    「ざっつらい。ありえねーよ、もう」

    「大丈夫、タイガならできるよ」

    「そりゃーさ、やればできるんだけどさ」

    時間を掛ければ出来るだろう。けれど、今はその時間が惜しかった。


    タイガはバスケットボールに夢中だった。

    それまで学校に来ても話し相手もなく、悶々と過ごす日々だった。しかし、タツヤに誘われてバスケを始めると、挨拶程度の英語しか話せないというのに、たちまち友だちができた。バスケがうまくなればなるほど、話しかけてくれる人が増えた。

    昨日の放課後も、学校のコートでいろんな相手とバスケをした。友人の一人、ニックには僅差で負けたので、明日は勝つからな、とリベンジを誓っていた。たまっていた宿題のことなど、すっかり忘れていた。

    「今日も、下手すれば明日もコートに行けねーかも」

    「バイオレットのホームワークが出たんだな?」

    タイガは頷いた。

    バイオレットというのはこの学校では古株の語学の教師だった。彼女のクラスは宿題の量が多いことで有名だった。古株の割りに彼女はWEBで問題集を作るという意外な一面を持っていた。

    「噂には聞いてるけど、どのくらい難しいんだい?」

    「なんつーかもう、どのくらいっていうか」

    タイガは前回の宿題の状況について説明した。

    タイガは語学の中でも文法が特に苦手だった。先日、宿題と指定された範囲のWEB問題は文法を苦手とするタイガでは全く歯が立たず、母親に手伝ってもらった。

    この問題集は回答が終わると即座に点数が出る。間違った問題に基づいて、基礎コースが自動的に追加される。基礎コースで間違えると、超基礎コースが自動的に追加される。間違えるたびに宿題が増えていく作りになっていた。前回の宿題を解いている途中、このマウスクリック作業が永遠に終わらないんじゃないか、と半ば本気で考えていた。

    母親の協力があっても全問解答するのに2時間掛かった。これが小学生レベルの宿題なの、と母がため息をつくほどの量だった。

    ふうむ、とタツヤが顎に手をやった。

    「タイガ、僕も宿題出てるし、今日は図書館で一緒にやろう。教えられるところはヘルプするから。今日終わらせて、明日はバスケしような!」

    「サンクスタツヤ!」

    何ていい奴なんだろう、と心の底から思った。


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