時は平安。華々しいはずの京の都では、闇のなかで怪しげな影が蠢いていた。
のちに平城天皇と呼ばれる安殿は、暗躍し、時には史書に残る事件を巻き起こしながら、影を消そうとしていた。
『日本史C』『日本史D』アンソロジーに参加させていただいた時の2編と書き下ろしを追加した、平城天皇とその周囲の人々の短編集。
実在する人物、エピソードに基づく創作(ファンタジー)となります。
「闇衣」
平城は天皇の座を弟に譲り、上皇となっていた。しかし、弟である嵯峨もまた闇の呑まれつつあることを知り、平城は京を守るためにとある計画を練る。
のちに薬子の変と呼ばれる、政変を起こした上皇と薬子の、その裏に隠された物語。
「影花のともしび」
早良親王の周りには、幼い頃から不思議な影が現れる。妹のいかるは、その影から逃れるために、寺へと預けられることとなった。
兄の早良親王も、後を追うことになっていたが…
藤原種継の殺害の首謀者として捕えられ、憤死した早良親王といかるの物語。
「薄紅の下にて」
日本で最初に花見をはじめたと言われる嵯峨天皇が、花宴の節の前に神泉苑にて過去を思い巡らす。
嵯峨と、兄の平城の思い出の物語。
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