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【現代】【恋愛】キスか呪いか

  • 稲取-33 (現代)
  • きすかのろいか
  • 法田波佳
  • 書籍|A5
  • 24ページ
  • 200円
  • 2019/9/8(日)発行

  • はじまりは桜の下のキス。
    それ以来、彼女は桜が嫌いになった。

    嫌悪や寂寥、優越、……心の中で渦巻く気持ちを隠しながら恋人との同棲を続ける女性。このまま仮面を被った生活が続くかと思っていたが、それはとある老人と出会ったことで変わる。


    【本文冒頭】
     風になびいた桜の花びらが、芝生に座る女性の頭上に舞い落ちていく。桜の雨と呼ぶには少ないそれは、春に降る雪のようだった。
    「よく寝てるね」
     乱れた髪を手櫛で直しながら、隣に座る香苗が言う。吊り目がちな瞳は、女性の膝の上を見ていた。
    「人の膝の上でよく寝れるよね」
     呆れたように口にする女性は、自分の膝で眠る男性に視線を落とす。塩素で脱色したかのような明るい髪は、緩い巻き毛になっている。
    「相変わらず見事な天パだね」
    「ね。お母さんゆずりらしいよ」
    「さすが、よく知ってるー」
     女性はそれに、曖昧な笑みで返す。二人の声が聞こえたのか、男性が小さく身じろぎする。髪よりも色素の薄い睫毛が細かに震え、瞼が持ち上がっていく。現れたカフェモカが女性を映した時、彼は柔らかな微笑を浮かべた。
    「羽子」
     慈しみに満ちた声音で名前を呼ぶ。そして彼は女性の首へ自身の腕を回し、そのまま自分の方へと引き寄せた。
     隣の香苗がかすかに息を飲んだのを感じながら、女性は押し当てられた熱に瞬きをする。軽くはない、けれど深くもない口づけ。それに、女性はゆっくりと目を閉じた。

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