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【ローファンタジー】【会誌・合同誌】青嵐

  • 稲取-33 (現代)
  • せいらん
  • 神連カズサ・法田波佳
  • 書籍|A5
  • 52ページ
  • 500円
  • 2020/9/6(日)発行

  • 外界から隔絶されたとある島。
     太陽神ラ・ルツと共に生きてきたこの島では、50年に一度、彼に生贄を捧げるための祭りが執り行われる。

    生贄に選ばれた少女と、彼女を想う人々が織りなす、天青祭と呼ばれる祭りまでの数日を描いた連作短編集。

    神連カズサ(@ka3_tsu0)さんとの合同誌で、
     プロローグ→神連
    1話→法田
    というように、一話ずつ交互に主人公を変えて短編を書いていきました(全4話+プロローグ・エピローグ)

     仕様
    ・A5判、二段組
    ・表紙にエナメル加工


    【掲載話一部冒頭】
    ◆プロローグ
    ーー東の果て。霧に囲まれた絶海の向こうに、一つの島があった。
     島の姿を覆い隠すように鬱蒼とした森の中に入れば、様々な動物の鳴き声が鼓膜を刺激する。
     季節は雨季に入ったようで、ここ最近は暫く太陽の顔を見ることが叶わなかった。
     潮の流れも悪く、主食である魚の量も減っていて、島の大人たち――取り分け、男衆の様子が見るからにピリピリと殺気立っている。
     やだやだ、と首を振りながら、頭から緑のベッドに倒れ込む。
     それから、どれくらいそうしていただろうか。
     頭の上を色彩豊かな鳥が、二周ほどしたところを見ると、時刻はすでに昼を回っているのかもしれない。
    「ナンナ」
     祖母の呼ぶ声に、ナンナは微睡の淵に引っ掛けていた意識を浮上させる。
    「大事な話がある」
     ナンナの家系は代々、島の長を務めていた。現在の島長はナンナの祖母――フクサである。
    「……座りな」
     寝転がっていた姿勢から上体を起こすと、いつになく真剣な表情のフクサと目があった。


    ◆第1話
     天をつんざくような高い笛の音が辺りに響く。集会の開始を知らせるそれに、マウリの足は速度を増した。祖母手製の刺繍が施された上衣は一番のお気に入りだが、今ばかりはその長い裾が恨めしい。前につんのめりそうになりながら、スピードに乗って坂道を駆け下りていく。集落の中心にある集会所に着く頃には、もうすっかり息が上がっていた。
     肩で息を繰り返しながら、重い引き戸を開ける。外界を遮断するようにぴちりと引かれた幕を少し開ければ、最奥に鎮座する族長と目が合った。鋭い眼光に射抜かれ、マウリは思わず息を詰める。
    「……早く」
     地響きのような声を聞くや否や、マウリは慌てて周囲に視線を巡らす。ちょうど中央に家族の姿があるのを見とめると、人々の間を縫い、母の隣の空いていた場所に腰を下ろした。


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