こちらのアイテムは2020/12/26(土)開催・Text-Revolutions Extra 2にて入手できます。
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【ハイファンタジー】【恋愛】《新刊》薄明を告げる鐘の音

  • はくめいをつげるかねのおと
  • 桐谷瑞香
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 304ページ
  • 1,000円
  • 2020/11/22(日)発行
  • ◆イベント初頒布◆

    「真実を明らかにするために、行ってくる」


    かつてアスガード都市では『真昼の悲劇』と呼ばれる原因不明の大爆発が起き、多くの人の命を奪った。
    その2年後、学者の卵テレーズは研究の先生と再会し、爆発の真相を探るために都市を訪れる。そこで男や魔物に襲われるが、道中知り合った警備団の青年マチアスの助けを借りて窮地を脱することができた。だが、それ以後もテレーズは度々狙われることに……。
       
    なぜ、テレーズは執拗に狙われるのか。
    そして『真昼の悲劇』の真相とは。

    二人の男女が青年の意志を継ぎ、真実を明らかにするために奔走する、都市の転換点を導く物語。  

    キーワード
    :カッコいい女性、堅物で面倒見のいい青年、軽そうな兄貴、
          過去の事件、謎の組織、戦闘、魔物、魔法っぽい現象、
          恋愛、先輩・後輩、兄妹

    薄明を告げる鐘の音 ~未来を繋ぐ出会い~ の本編となります。

    ◆テキレボEX2公式アンソロジー「手紙」に寄稿した、『薄明に繋がる想いを記す』の加筆修正版も幕間として収録。
     → https://text-revolutions.com/event/archives/12800
    ◆試読→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14124248 

    ・イラスト:なつみずん様
    ・仕様:フルカラーカバー、スピン付き
    ・おまけ:しおり、小冊子コピー本

    ***********

    ★試し読み★

      (第1話 学者の卵と敏腕警備より p15-19)  

       テレーズが大通りを歩く度に、一本に結った栗色の髪がゆらゆらと揺れていた。肩よりも長く、癖のない髪は、友達から羨ましがられた記憶がある。
     肩からかけている大きな荷物が目立つのか、時折往来する人の目が向かれた。その視線を相手にせず、黙々と進んでいく。
     通りを歩き、書店の角を左に曲がった。地図で位置を確認しながら、さらに直進していく。中心街に近づいているのか、鐘塔が視界の中で大きくなっていた。
     やがて何度か曲がると、馬車が通らず、人もあまり歩いていない通りに出た。大きな建物の裏手なのか薄暗い。今の場所を地図で把握し、方角を確かめると、鞄を握りしめて進んだ。
     少し歩いたところで、テレーズは唐突に立ち止まった。後ろから聞こえる足音も止まる。眉をひそめながら歩き出すと、後ろの足音も同じような動きをした。
    (まさか、尾行されている?)
     地図を見る振りをして、再び立ち止まる。やはり足音も止まった。
    (やっぱり尾行されている……)
     小さく肩をすくめた。誰かに狙われる覚えがない。まだ都市に来たばかりなのだ。
     テレーズはハッとし、自分の荷物を見た。この都市に住んでいる者では考えにくい、荷物の多さである。
    (もしかして旅行者を狙った、盗っ人とか? それはあり得ない話じゃない。しょうがない、面倒なことにはなりたくないし、振り切るか)
     考えをまとめて、地図から大通りに行ける最短の道を選び出す。どうやら来た道を戻るよりも、少し進んで裏路地を突っ切った方が早い。その後は、人混みに紛れてしまえば、尾行者はテレーズのことを見失うはずだ。
     早歩きで進み出すと、後ろにいた人間も歩き出した。目的の曲がり角を見るなり歩調を早め、さらには駆け出し、裏路地に入った。
     意表を突かれた追っ手も慌てて走り出す。
     テレーズは手近にあったゴミ箱を引き倒し、障害を作った。
     一瞬、振り返ったとき、追っ手の姿が見えた。二人組の男性で、襟が高い黒色の服を着ている。暗い色のレンズの眼鏡をかけているため、顔はわかりにくい。
     向こう側の通りが見えて、ほっとしたのも束の間、突然頭上が暗くなった。顔を上げると、何かがテレーズに向かって落ちてくる。このままでは衝突すると思い、慌てて立ち止まった。
     すると正面には、真っ黒で巨大な猫科の動物が降り立った。腰くらいの高さの生き物で、瞳の色は赤い。
     後ろから追いついた男たちが、肩で息をしながら、声をかけてくる。
    「お嬢さん、危ないから、こっちに来なさい」
     男は諭すように言ってくる。彼らの声音や様子から、慌てた雰囲気は感じられなかった。
     魔物を見慣れているのか、それとも――。
     思考を巡らせる暇もなく、魔物が地面を蹴って、突進してきた。
     テレーズは荷物を脇に置いて、短剣を取り出す。接触する寸前に、近くにあった棚を駆け上って、突進をかわしながら背後をとる。
     振り返ると、魔物は男たちの手前で止まり、体を回転して、こちらに顔を向けてきた。
     魔物は男たちを襲おうとしない。やはり、あれは彼らが飼い慣らしているものなのか。
    「二人と一匹が相手……」
     護身程度しか短剣を触れないテレーズにとっては、この数が相手となったら逃げるしかない。これだけの至近距離では、得意の弓の利点も生かせないからだ。しかし、魔物に背中を向ければ、あっという間に追いつかれ、襲われるに違いない。
     逃げるにしても、魔物は怯ませる必要があると結論づけた矢先、魔物が動いた。噛みつこうとしてきたため、刃の腹に左手を添えて、両手で短剣を持った状態で牙を受け止める。だが、押してくる魔物の方が力は上だった。
     見る見るうちに短剣の刃は押され、左手に刃が食い込み、血が滴り始める。歯を食いしばりながら耐えるが、限界に近かった。
     不意に魔物の牙が短剣から離れた。予想していなかった動きをされ、テレーズは判断が遅れた。次の瞬間、腹部に魔物の頭突きを受ける。
    「……っく!」
     まともに攻撃を受け、地面に背中を打ち付けながら転がった。
     起き上がろうとすると、魔物がテレーズのすぐ横まで移動していた。少し身じろぐなり、威嚇してくる。しかし、動かなくなれば噛みつこうとはしてこなかった。まるで調教された動物のようである。よく見れば首輪をつけていた。
    「……ったく、てこずらせやがって」
     男たちが近づいてくる。手には縄が握られていた。
    「一緒に来てもらうぞ。テレーズ・ミュルゲ」
     名前を知っている。つまり相手は通りすがりの旅人を狙った盗っ人ではなく、何らかの理由があって、テレーズを狙っているようだ。
     魔物を睨みつけると、逆に牙を近づけられる。人の喉元など簡単にかみ切ってしまいそうな牙だ。

     鼓動が速くなる。
     男が近づいてくる。
     どうする――

    「――こんなところで男二人と獣一匹で女をいたぶるとは、あまりいい趣味じゃないな」
     低く、重い、よく響く青年の声。その声には聞き覚えがあった。
     男たちは怪訝な表情で、来た道を振り返る。
     首元でマントを留めた青年が一人、颯爽と裏路地を歩いてきた。暗がりの中でもうっすらと群青色の瞳が見える。行きの馬車で同乗していた護衛の青年だ。
    「お前、何者だ。近づくと痛い目に遭うぞ」
     彼は男たちの制止の声など聞かずに、こちらに近づいてくる。
    「おい、聞こえねぇのかよ! ……忠告はしたからな」
     男が一人、青年に近づく。そして拳を作って、上から殴りかかろうとした。
     だが、彼は表情一つ変えずに、頭を動かして拳を避け、顔の真横で男の拳を捕まえた。
     ニタリと笑みを浮かべる。
    「これで正当防衛ができるな?」

    ***********

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