友人はまだ煙草から帰ってこない。本当に死んだのかもしれない。
B6中綴じ/36P/二色刷り 新宿嫌いな女が新宿に出て宿す破壊願望の話、味噌汁太夫を諦める話、顔を取り外した女と友人のささやかな復讐の話などを収録した、お試しにぴったりと思われる、スペシャルでお得な一冊。 インターネット投稿作などから厳選した小説群に、初掲載『味噌汁太夫を諦めて』を加えた、短編小説3本、300字小説3本収録。
リンク先(カクヨム)から、収録作品のほとんどが試し読み可能です。
収録作品一覧
・ロードキル(300字小説)
「あなた」は、私を轢き殺した。「あなた」は、「あなた」は……
・顔をたずさえ(短編小説)
ひょんなことから、中学時代の友人・エリカが地元に戻ってくることになった。駅の改札で再会を喜ぶエリカと主人公・アラコ。
しかし、久しぶりに会ったその友人の顔は、切り離されて自身が持つバッグの中にしまわれていた……
顔を取り外した女とその親友の、過去とささやかな復習の話。
・しそこねた(300字小説)
主人公の部屋の窓は立て付けが悪い。だから、冷たい空気も入り放題。
・味噌汁太夫を諦めて(短編小説)
憧れの先輩に手酷く振られた雅恵は、感情がぐらつくままにネットの掲示板に書き込みをする。「味噌汁太夫さんと繋がりたいです。釣りいりません」。
そんなでたらめな名前の人間は、そもそも存在していなかったはずだったが……?
・花柄(300字小説)
リホは、特定の手順通りに体を触ると、花柄の風呂敷に包まれたお弁当箱に姿を変える。そこには、きちんと湯気の立つおかず類も入っている。二日ぶり、だった。
・溢血(短編小説)
試し読み新宿嫌いの女が、友人のバンドのライブに呼ばれた。だが、そのライブハウスは、新宿の内部にあった……。
ごみ、ホームレス、おじさん、おばさん、ホストの勧誘、女子高生。ありとあらゆるものが臭気をまといながら通り過ぎていくこの街で花開く、ひとつの破壊願望の話。