「暴力」をテーマに、2人の作家が描き出す小説・詩を収録したテーマアンソロジー。当たり前に「暴力」が飛び交う世界で、その意味を問いただす作品集。
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大滝のぐれ 詩
「さみしさに、殺人」
ナイフが手元にあるなら、それを刺す側の人間であることをちくいち表明しろよ。刺される側だったら許さない。
小説
「腹に麺類、そばにペンギン」
人が死んでも、何事もなく生き返るようになった世界。嫌な上司の元で働く主人公・アライは、とつぜん「オウサマペンギンについばまれて死のう」という思考に取りつかれる。上司を青龍刀で殺したあと、彼はうきうきと動物園へ向かうのだが、そこにはコタツに入ったペンギンがいて……?
「残り香はぺたぺたついてきた」
佐竹マサタカを、クラスぐるみでいじめるよう仕向けている「俺」。ラグビー部顧問に殴られ、ブサイクな顔で笑う佐竹。かわいそう。でも、それが青春だ。誰かが蹴落とされ、なぐられ、酷い目に合う。でも、過ぎさればいい思い出になる。そういうものでしょう? そうだった、でしょう?
青春のつけを払わされる『俺たち』への鎮魂歌。
フジイ 詩 「とまる、とまった、うごいた」
「池袋池袋」
「みえない導き」
変えられないというのは、暴力。
小説スコトーマ
「あなたは、この世って信じる?」
「卒業しても、なんか作りつづける?」
「まあ気が向いたら来いよ、最後だぞ」
「ァラ、マァテ」
〝目がおかしい〟主人公・杉田。彼が大学の卒業式の日に体験した、「反転」と「お終い」の物語。
暴力は、現実ですか?
あなたは、大丈夫ですか?