なめくじのような僕が通う中学校には、毎年必ず魚になる生徒が現れる。それが牧。かっこよくてみんなの人気者で、僕とは住む世界の違う人間。でも、僕は彼のことが大好きで、肉体的にも精神的にも大好きで大好きでたまらなくて、毎日妄想の中でそれを慰める日が続いていた。
しかし、徐々に牧を取り巻く環境は変わり始める。魚のまま笑う牧。うごめく、牛の舌のような、貝の足。そのさなか、僕はひとりで立ち尽くす牧を見つける。重苦しい夏が、始まろうとしていた。
お互いに体は粘液にまみれ湿っているのに、どうあっても同じ世界では生きられない。日陰にはいられない。胸をかきむしりたくなる青春小説。
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