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【会誌・合同誌】空華第九号

  • 熱海-23 (現代)
  • くうげだいきゅうごう
  • 杜埜不月 大坪命樹 冬月 藍崎万里子
  • 書籍|A5
  • 232ページ
  • 300円
  • 2019/3/31(日)発行
  • 空華第九号は、ページ数が増えて今まで一番分厚い号となりました。
     目玉は、何と言っても、第五十五回文藝賞第三次選考通過作、藍崎万里子著「Nという山奥」でしょうか。人間嫌いの洋介は、女性に若いときにフラれた所為もあり、人間嫌いとなって独り山奥で自活する生活を目指す。女もあまり好きではなかったが、世話人としてか妻直子を娶って、二人で山奥で自活するよう戦い始めるが……。人間文明に果敢に独り立ち向かっていく洋介の魂は、凄まじいものを感じさせます。第三次選考に残るだけの、テーマ性の重い、問題作です。ぜひ、藍崎万里子さんの筆力を、味わって下さい。
     次に長いのが、杜埜不月さんの「春風はやがて」です。本人曰く、半分自分の経験を書いたそうですが、小説を書き始めて間もないのにこれだけの長さを書けるというのは、相当の豊かな才能です。プロット的にはそれほどぐいぐい引っ張るものはないですが、若い高校生の青春を思い出させるような、爽やかな味わいの作品です。大人しめのプロットだけに、直に杜埜不月さんの力量が問われる作品ですが、無刀会の新星なので、これからも期待できます。また、この作品もなかなか楽しめるので、是非、読んでみてください。
     冬月さんの作品は、いつも平和なユーモアに満ちた破天荒小説ですが、それはこの「伝説教師X」シリーズが、ギャグ漫画ネタとして、当初考案されたからでもあります。しかし、ユーモアも絵にすると齣の小さな図版に閉じ込められてしまって、冬月さんの破天荒さが死んでしまいます。そこは、文学の良さを生かして、どこまでも読者の創造力の爆発する限り大きく、妄想した小説世界をこころに描いて、読んで戴きたいです。こういう文学を認められない人は、本当の意味で、文章が好きではないのではないかとも思えます。
     一人一号から書き連ねている私・大坪命樹は、さりとて大した作品を書けるでなし、例によって禅問答小説を載せました。Gacktのアルバム名にもある「慧可断臂」を描いた作品です。これは、かなり私なりの、こともすると曲解した慧可像が描かれているのですが、もとより「慧可断臂」は、作り話だという説もままあるくらいなので、この話を通して、私は「命」に代表される「仏」というものを描いてみました。こともすると、現代の「リストカット」に通ずるテーマでもあり、そんな大仰な、と言われる可能性大ですが、私自身は気に入っている一作です。
     巻末には、「そらばなし書評」を掲載しました。併せて楽しんで戴けるとありがたいです。
     このような第九号でした。

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