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【ローファンタジー】【新刊】おぼれるかみさまからうまれた世界

  • 別府-01 (ライトノベル)
  • おぼれるかみさまからうまれたせかい
  • 藤和
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 104ページ
  • 700円
  • 2020/06/04(木)発行
  • 鉱物を食べる人形が居た。
    人間は人形を愛した。
    その星には信仰が満ちていた。
    けれども、人間と人形、神はわかり合えない。
    表紙イラスト:白井 萩様
    --本文サンプル--
     

    【食べる不思議】

     目の前で花の形をした重晶石を食べる人形を見つめる。
     人形は何故、あんなに固い石を食べる事が出来るのだろう。それが不思議で仕方なかった。
     石を食べるというのはどの様な感じなのだろう。一体どんな食感で、味がするのだろう。気になって一度、オパルの欠片を嘗めたことがあるのだけれど、私には味を感じることが出来なかったし、歯を立てても痛いだけだった。
     人形を見ながらぼんやりと真っ赤な石榴の実をつまむ。ほのかに渋くて甘酸っぱい。
     瑞々しい石榴を種ごと噛みしめていると、目の前の人形が不思議そうな目で私のことをじっと見た。
     おかわりが欲しいのだろうか。そう思っていると人形がこう言う。
    「人間はどうして果物を食べられるの?」

    【虹色の令嬢】

     目の前に座っている人形の髪を手に取り、霧吹きで軽く湿らせる。すると、白い髪は透明感を増し、七色の光が浮かんだ。
     この子はミネオールではないけれども、いつもオパルを食べさせているので性質がオパルに似ているのだ。
     虹色に輝く髪を私が編み込んでいる間、人形はずっと白や青やピンクや緑のオパルを次々と頬張っている。
     深い色の短い毛足のある布でできたワンピースを着て、私に髪結いをされて。まるでその姿はお嬢様その物だ。
     人形の髪を編んで結い上げ、簪と櫛で飾って思わず笑ってしまう。
    「こんなに食いしん坊な子だなんて、この姿を見た人は誰も思わないよ」
     すると人形は、鏡越しににっこりと笑ってこう言った。
    「そう言う需要もある」

    【満月のパイ】

     秋の満月の夜、この日はお月見をしようとミモザのパイを用意した。
     このパイは様々な果物を詰め込んで焼き、その上に砂糖漬けのミモザを敷き詰めた物だ。毎年違う味で、香ばしく甘いパイを神様は毎年楽しみにしている。
     手の平の上に乗ってしまう満月を模したパイ。軽やかな歯触りの生地と中に詰まった果物を味わう。どうやら今年は林檎や蜜柑以外に花梨や無花果も入っているようで、ほのかな苦味とねっとりとした甘みがある。
     月を眺めながらぼんやりとパイを囓って、ふと隣にいる神様を見る。すると、パイを食べるのに夢中になって月など目に入っていないようだった。
     その姿を見て、自分もこんな風にお菓子に夢中な頃があったなと懐かしくなった。


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