【ローファンタジー】【現代】学者と花束

• 別府-01 (ライトノベル)
• がくしゃとはなたば
• 藤和
• 書籍|その他
• 56ページ
• 700円
• https://towa49666.jimdofree.c…
• 2019/3/21(木)発行
• 以前発行した掌編の載った折り本9冊を可愛い正方形の冊子に纏めました。
  架空の鉱物の話や兄弟の話、時に理不尽な話など、そんな物を集めました。
  
  文庫版変形　56ページ
  －－本文サンプル－－
  
  

  【日緋色金】

  　やぁ、こんな所に人が来るのは久しぶりだね。
  　長いことここへ来る事は出来なかったはずなのだけれど、最近はまた来られるようになったのかな？
  　何にせよ、誰かが来てくれるというのは嬉しい物だね。なんせ、ずっとここにひとりぼっちで居る物だから、 ひとが来ると珍しくてね。
  　そうだね、偶に寂しいと思うことは有るけれど、しかたがない。私はぢっと我慢しているよ。
  　ところで、今日はここへ見学に来たのかな？
  　ん？　違うのかい？
  　ああ、日緋色金（ヒヒロイカネ）についての話が聞きたいのか。
  　勿論、話だけなら聞かせてあげられるよ。
  　少しの間、私の話を聞いておくれ。
  
  

  【世界五分前仮説】

  　こんな所に人が来るなんて珍しいな。もう長いこと忘れ去られた場所だと思った居たんだけどな。
  　どうやら観光客ってわけでも無さそうだけど、何か目的が有って来たのか？
  　……世界のはじまりを知りたい？　へぇ、その答えを求めて、ずっと旅をしてるのか。色々な識者に会って、 問答をしたけれど、どれが真実かわからない。なるほどね。
  　まぁ、そう簡単に辿り着ける物でも無いだろうな。
  　うん？　一応参考までに俺の見解を聞きたい？
  　まぁ、俺も暇だから多少のおしゃべりには付き合うよ。
  　でも、あんまり期待すんなよ。これから話すのはあくまでも、俺個人の意見だからな。