その兄から連絡が入ったらしい。目を釣り上げる少年に総裁は肩をひそめた。
「まーた美人だからって人妻に何さらしとんじゃ、あのスケベ野郎」
「…えーっと」
「火蓮夫人に色目使いやがった…ここに連れてくるとか抜かしとる」
「あの女優はなびくかな」
総裁はそう言う。
「ワトソン夫人、確かトスカーナ出身の若手女優の…」
思い出したのか、そう聞いた。
「ルクレティア・フォルツァのことですか」
「ええ、彼女も政府に目をつけられているかもしれません、自治権申請の運動に加担していましたから」
「リッチー君、友達連れて来るんじゃないかな、火蓮…」
ワトソン夫人の言葉を聞いて総裁は少年の方に声をかけた。
「なるほど、うちのバカ兄貴、利用しない手はないですね」
「君…」
思わず呆れた声が出てしまっていた。
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