【百合】しかのおさそい

• 別府-05 (百合)
• しかのおさそい
• めぐる
• 書籍|文庫判(A6)
• 24ページ
• 100円
• 2020/9/6(日)発行
• 酔いどれ百合小説サークル｢しかのねどころ｣のお試し版小説本。
  贈り物に悩む社会人百合・学校の外でクラスメイトに出会う中学生百合の掌編二本を収録しました。
  こちらのみノンアルコールとなっております。
  
  ーー本文よりーー
  
  「おもいつかない」
  　バスに揺られる帰り道、私は律儀に欲しいものについて考えていた。けれど本当に欲しいものはなくて、一人で考えていると寂しい気持ちが湧いてきた。贈り物をしたがっている相手に甘えて何かを欲しがることができていない。今までにもそんな事が、相手の気持ちに応えきれてない事があったかもしれなかった。
  
  「いつもの角度で」
  　新庄さんは教室では黒のようなグレーのようなメガネをかけて、教室の窓辺の席で読書をしていることが多い。孤立しているわけではなく、気がつけばクラスメイトと話していたり一緒にトイレに行ったりしているようだった。 　私も同じようなもので、女子のグループがあるようなないような二年生の学級でどこかに属している気はなく教室にいた。