「オレはもうホタルには必要ないから」
いや、下手に接触すると彼女の障害になりかねない。
「もうホタルにはオレはいらないんだ」
むしろ、彼女の幸せの為なら、自分のことなど本当に忘れて欲しい。
カイナックの北半球の亜寒地帯にあるシャイアン国立公園のペンションでバイトを始めた秀とファボスは、そこに食料や日用品を納める会社に秀の、宇宙時代のストリートチルドレン、スペースチルドレンの元メンバー、蛍がいることを知る。
だが、蛍の養子先の新しい兄、悠斗は蛍が元スペチルとばれないよう、彼に再会しないでくれと頼み……。
宇宙空間に浮かぶ下町、宇宙駅『神田』。
そこに住む人々の今と変わらない悩みや幸せ、悲しみや喜びを描いたSF人情物語の第二巻。
全て読み切りなので、この巻からでも読めます。
収録作品
・深海狂想曲(初出・テキレボアンソロ「海」・加筆修正版)
水が苦手なファボスに「海」を体験させる為にVWを訪れた秀と奈緒、桜。しかし、そのVWに不正ダイバーが侵入して……。
・砂のお城(書き下ろし)
大手町の夏の恒例町内行事「海水浴」。カイナックの海水浴場を訪れた英樹は酔っ払いに絡まれる父を助けようとするが動けない。そこに、妹の茜がやってきて機転を利かせて助けてくれる。
「私、お酒、大っ嫌い! だってお父さんの敵だもん!」
妹の言葉に英樹は自分だけが『逃げ遅れた』ことを知る。
・駄菓子屋狂想曲(web掲載修正版)
お盆の午後、子供達のたまり場、駄菓子屋『一銭屋』でダベっていた秀とファボス、英樹と英樹の友人の遼。
そこに神田駅前商店街でひったくりがあった一報が入り……。
・七番ポッドの七の七(書き下ろし)
「恋のキューピット、ラブリー・ハルナ!」
去年のハロウィンに勇武から告白されて、順調に彼と付き合っていた鞠。しかし、娘の為にと、しゃしゃり出た父親のせいで、二人の仲が少しぎくしゃくしてしまう。
なんとか元に戻りたい鞠は、従甥の純と彼の子守ロボット、バインと共に、『神田』の『Sheep world』名物、恋のトラブルを解決する噂のガイドマスコットつきアクセスポッド、七号室の七の七からVWデートする。
・forget me(書き下ろし)
試し読み→
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13766634