こちらのアイテムは2020/12/26(土)開催・Text-Revolutions Extra 2にて入手できます。
くわしくはText-Revolutions Extra 2公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

【現代】季節標本

  • 稲取-39 (現代)
  • きせつひょうほん
  • ゆら
  • 書籍|豆本
  • 112ページ
  • 300円
  • 2020/7/11(土)発行
  • 2018年6月17日の第三回文学フリマで頒布したものの第二版です。 内容は、誤字脱字を修正したほかは一版と変りません。 季節が持つ色や匂い、音などを描写した140字小説集。春夏秋冬各25作ずつ収録しております
    ・サイズ:B7
    ・コピー本(くるみ製本)
     以下、試し読み。  

     雪が残る山は白と土のまだら模様で、若葉もまだ芽吹かない並木道は寒々しかった。冬の気配が残る色のない景色を、ぴかぴかの自転車で通り過ぎていく。頬を滑る風には、湿った土の匂い。  
     春が来た。新しい人間関係とか業務内容とか、不安が山積みでもなお顔を上げ、鼻歌さえ歌いたくなるような、春が。(春の章より、『木の芽時』)  


     太陽がじりじりと頭を焦がしている。自分の影に目を落としたまま、
    「また、来年」  
     と墓に背を向けた。その瞬間、一陣の風が木々を揺らしていた。

     『     』  

     木の葉の騒めきに紛れて何か聞こえた気がしたが、そら耳らしい。  
     振り返って見えたものは、どこまでも高く青い八月の空だけだった。(夏の章より、『盆』)  

     着信音で目が覚める。風の音で眠れないと言う君のために、一晩中お喋りをすることにした。深夜の物語は酷く現実感が無かった。日付が変わる頃に交わされたおやすみの一言も、どこか夢現。  
     翌日教室で見た君は、昨日のことなんてなかったみたいに友達と笑っていた。広がる空は、夢から醒めたように青い。(秋の章より、『台風一過』)


    「これ、食べてみて」  
     君が差し出した可愛らしい包装のチョコレートは、例年以上に優しく蕩ける。
     「おいしいから、自信持ちなよ」  
     そう言って彼女の背中を押す幼馴染の僕は味見係。  
     甘い匂いを身に纏い、今年も君は僕じゃない誰かのためにお菓子を作る。(冬の章より、『二月十四日』)


    試読巡りに参加しております。

    スタンプの取得はこちらから→ https://wp.me/pco2ha-dE








ログインしませんか?

「気になる!」ボタンをクリックすると気になるサークルを記録できます。
「気になる!」ボタンを使えるようにするにはログインしてください。

同じサークルのアイテムもどうぞ

【現代】白線を飛び越えて【現代】紫陽花の咲く頃に【現代】踏切前の喫茶店【現代】季節標本【現代】ふたりぼっちにはもうなれない【現代】春を待ちながら【グッズ】短歌ポストカード【グッズ】短文ポストカード【グッズ】140字ポストカード4【グッズ】140字ポストカード3【グッズ】140字ポストカード2【グッズ】140字ポストカード1【グッズ】不透明水彩のクラゲポストカード5【グッズ】不透明水彩のクラゲポストカード4【グッズ】不透明水彩のクラゲポストカード3【グッズ】不透明水彩のクラゲポストカード2【グッズ】不透明水彩のクラゲポストカード1【グッズ】透明水彩のクラゲポストカード7【グッズ】透明水彩のクラゲポストカード6【グッズ】透明水彩のクラゲポストカード5【グッズ】透明水彩のクラゲポストカード4【グッズ】透明水彩のクラゲポストカード3【グッズ】透明水彩のクラゲポストカード2【グッズ】透明水彩のクラゲポストカード1

「気になる!」集計データをもとに表示しています。