「指が、御手が穢れます。この黒は死の色ですゆえ」灰迷に立つ都の領主が水底へ下った。死んだのだ。新しく領主となった娘は、その執政の衣に黒を求めた。まるで死出の旅へ出るかのように濃く、一片の光も返さぬ深い黒を。
「この黒ではまだあかるい。まだ浅い。まだ淡くて、薄い」
――わたしが。わたしこそが、誰よりも深く、誰よりも濃い黒を染められる。私は番人なのだから。
試行錯誤の日々のなか、ヨサリの元へ急遽、死出の衣が求められる。罪人の民の本来の役割は、死者を包む衣を染めること。執政衣の納期が迫る中、ヨサリは死者を送り出すのだが……。
灰と水、地下と暗やみ、階段井戸、古くから続く因習と確執をめぐるファンタジー。
新作書き下ろしの短編です(現在原稿中のため判型他いろいろ未定です)
※テキレボ開催中にWeb公開します。ご了承の上お買い求めください。
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