3篇の短い小説を所収しています。
ばらばらの物語ではあるのですが、この本に出てくる登場人物たちはみんな大事なひとに出会えてよかったと言える日を目指して生きているような気がしています。
*収録作品*
「碧がはじく」(恋愛/原稿用紙30枚)
――体温さえも邪魔だとおもった。
ひかると遼平は海に来ていた。秘密に触れて、打ちのめされて、どうしようもないままにただ海を見ている。ふたりはもう、純粋な眼差しでおたがいをみとめることができない。
「耳を鬻ぐ」(ヒューマンドラマ/原稿用紙100枚)
――いつか、なにかを救えたらいいね。
小径はとある嘘から野田坂さんに職場まで車で送迎してもらうことになる。感染症が発生しなければ、恋人と別れることも、転職することも、隣人と面識をもつことも、同僚の車に乗せてもらうこともなかった。そして、あらゆるひとびとの話を聞くこともなかったのかもしれない。
「水のすみかで」(ヒューマンドラマ/原稿用紙10枚)
――ときどき、瞳を交わしただけで悟る関係があるのだ。
あした、台風が直撃するらしい。これ以外に幸福な愛などないだろうという生活を送るなかで、数は時折あるひとのことをおもう。
*冊子版購入特典*
冊子版をお買い上げくださったかたには特典として「シメージ:ある夏の印象」を無料でご覧いただけるブログのパスワードをお渡しいたします。毎月15日・25日に更新予定です。 シメージとはなにか、わたしにもわかりません。わからないけれども書かないといけないようなもののような気がしているなにか、です。今回のシメージは2020年8月に使い捨てカメラで撮った写真に小説・エッセイ・短歌などなにかしらのことばを添えた作品集とします。
*その他*
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