【恋愛】三点コーナーと赤い糸

• 道後-08 (恋愛)
• さんてんこーなーとあかいいと
• 粒子
• 書籍|その他
• 12ページ
• 200円
• https://estar.jp/creator_tool…
• コピー本です。表紙が1札1冊少しずつ違うため、ランダムでのお送りとなります。
  
  【冒頭立ち読み】
  ＜表＞
  
  　あいしている。
  
  　という言葉の意味を知ったのはわたしが十五のときだった。
  　きっかけは酷く単純で、決して高い身長ではないのにバスケのドリブルが誰よりもうまく、合間をすり抜けて三点シュートを取り続けるあなたの猫背を、実際にあいしたから。
  　体育館の隅っこにあなたが帰ってきたとき、弾かれたように飛んだ汗が、張り付く黒い髪が、浅黒い肌が、すべてが美しかった。
  　極めつけはその瞳。暗くて、黒くて、決して何者をも寄せ付けないように思うのに、意外にも簡単に笑みを宿す眼球。でも、一人きりでいるとき、黒板を見つめるとき、あなたの瞳はただの宝石になって、もはや臓器でも器官でもない。ただ冷たくて血の通らない、鉱石のような温度で、あなたは世界を見る。
  　芸術品を、天使を、あいするように、私はあなたに恋をした。
  
  （続く…）