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【詩歌】十三月のうた

  • 道後-08 (恋愛)
  • じゅうさんがつのうた
  • 粒子
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 90ページ
  • 300円
  • 2020/6/15(月)発行
  • 2019年の日記からの39編抜き出し+1編の掌編小説「手紙」を収録。
    詩のような、エッセイのような、散文のような、そんな「ことば」のまとめ本です。

    【抜粋】
    022

     なにかの奇跡がおきて、あなたに、わたしの声しか聞こえなくなったらいいのに、とおもう。そうしたらたとえあなたが愛想をつかしてわたしに触らなくなったとしても、ほかの女と結婚したところで、通訳がわりにわたしは横にいたりして、うすくほほえんで邪魔にならないようにしてるわ。朝になって、あなたが誰かと話さなくてはならなくなったとき、「あいしてる」だけじゃ足りない難しい気持ちや説明を奥さんに伝えなきゃいけなくなったら、かならずわたしが必要になる。苛々してくれて構わない。


    032

     身体が壊れてくれればいいのに。わたしの首からグロテスクなものがふきだしたり、とつぜん腰からサイの角が生えたり、ずっとくしゃみ続きでまるで話せないほど喉を傷めたり、そういうことで、だれの目からみても可哀相な状況へ陥り、どす黒い心臓を抱えて病院の白いシーツにまるまってねむりたい。世界の絶景日めくりカレンダーを買ってみたけど、結局どの一枚にも行けないんだから、なんにもないひんやりしたシーツに慰めてもらいたい。

     甘い花束のなかに溺れてみたい。溺れ死ぬのはいや。でも生きているのはもちろん好きじゃない。このまま全てが消し去ってしまいますように。花粉をつけこそねたおしべ。レモンティーのなかで氷がゆれて崩れていく。やっぱり何かを変えなくてはならない。

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