3世紀、中国。天下の南を占める大国、呉(ご)。
この国の名門・陸氏(りくし)の若き当主である陸抗(りくこう)は、妻を離縁し、彼女を破滅させた。母を恋い慕って泣く息子を前にしても、決して厳とした態度を崩さない陸抗の、その真意とは。
凄惨な後継者争い、初代皇帝・孫権の崩御、傀儡に過ぎない幼帝の即位、そして血縁という名のしがらみ。乱世によって複雑に絡み合った血の糸は、人々を翻弄し、きりきりと締め上げていく。
「この社会は血縁による連座が、大層厳しい。……それが、この社会の伝統である」
試し読みはこちらからどうぞ(外部サイトへ飛びます)
http://kateinotsuru.jugem.jp/?eid=38
【簡単なあらすじ】
病弱で関西弁でプライドは山よりも高い名門の若当主様が、家族(妻子と老母)と年上の政客たちと偉大なる亡き父と先代の皇帝の幻影に苛まれ、ひたすらにしんどいけれどがんばる話です。
【三国史的あらすじ】
舞台は253年10月末、諸葛恪の死から9日後の呉です。諸葛恪から孫峻に政権が移ったばかりの混乱した呉の様子を、まだ歴史の表舞台に登場する前の、若き日の陸抗の視点から書いた話です。
※中島夏子は久志木梓の旧筆名です。