こちらのアイテムは2017/10/28(土)開催・第6回 Text-Revolutionsにて入手できます。
くわしくは第6回 Text-Revolutions公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

【SF】【歴史】【時代劇】夢見る化石・他

  • E-18 (ファンタジー)
  • ゆめみるかせき
  • つんた
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 600円
  • 【歴史・時代劇】【SF】ファースト宇宙殿下と通称で呼んでいましたが、「花」や「星の流れに」シリーズの最初の物語


    二人の人間が静かに庭を歩く。腕に抱えた少年の軽さに医師である男の顔はかすかに曇る。発熱している事にも。

    「ヘンリー・・人がいる」

    腕の中の少年が顔を向けた先。

    「え」

    生け垣のそばに人が倒れていた。二人は用心しつつ、近付いた。白い布から長い黒髪が見えた。

    「この皮膚は…これ以上はなりません、陛下、ペストです」

    彼は連絡を取り、次の言葉を続けた。

    「防護服用意したスタッフをここに寄こすそうですが、陛下」

    「何」

    「用意がありますので、私は管理棟に戻ります。この毛布、外してはなりません、いいですね、これは医療スタッフとしての指示です」

    「…わかった」

    毛布を握りしめ、少年はその倒れている人のそばに座った。医師である男が去っていった。

    「あの男は何者だ…」

    倒れたまま、その人が絞り出した声。

    「あなたはどちらの御方ですか…その話し方は…十四世紀頃の御方とお見受けいたしますが」

    「私、か」

    こちらを向いた顔。

    「殿下…」

    「私はそなたを知らぬ。が、そなたは私を知っている様だな…陛下と呼ばれていたな、あの男は何者だ」

    「…弟君、ジョン殿下の子孫、ヘンリー七世です」

    「ジョンの…面影は…君の方が…エドマンドに似ている」

    「私は…そのエドマンドの…ひ孫にあたります」

    そんな後の世代の者と出会う、それは薄気味が悪い。

    「陛下、と聞こえた」


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