刀剣乱舞二次創作BL小説本(全年齢)
男審神者×大和守安定(主安)ミステリ合同誌
タイプの違うふたつの主安ミステリ小説。
本丸での日常の謎系ミステリと、審神者の時代の本格ミステリ。
「そういえば大和守。お主も今日、部屋のあたりにいなかったか。なにか見てはいないのか」
三日月の言葉に、皆の視線が安定に集まる。まさか今更安定の名が挙がるとは誰も思っておらず、皆驚いた表情をしていた。
一気に注目の的になった安定は、ばつの悪そうな顔をして、そして顔を伏せた。
「大和守……お前、どういうことだ」
「いや、……その」
「なんだよ。お前、なんか隠してんの? ……なにもないならそう言いなよ」
「そうだぜ安定。黙ってんのは、自分が犯人だと認めてるようなもんだぜ」
「…………」
歯切れの悪い返事のせいで、安定は一気にやり玉に挙げられてしまった。それでも、強引にでも犯人を特定したがっている長谷部以外の者たちが、安定を擁護する態度であるのが、唯一の救いだった。
しばらくはらはらしながら見守っていた審神者だったが、いよいよ我慢できずに、安定をかばうように身を乗り出した。
言葉遊びと月と虎――加賀三文字
情報共有というよりは世間話に近いノリで最後の心当たりについて話をしていると、車通りのないはずの後方からタイヤの音が聞こえてきた。旧式のものであっても最近はエンジン音さえ全く出ないとはいえ、タイヤが道を踏みしめる音は独特だ。
先日水を被って昨晩遅くまで起きていたせいか、ついくしゃみが出る。咳じゃなくてよかった。昔彼の前でうっかり咳込んでしまい色んな意味でひどい目に遭ったことがある。
「大丈夫? 僕の服貸すから、肩に掛けておくといいよ」
そう言ってやけに真剣な目で彼が手渡してきたのは、大事なものだろうあの羽織だった。思わず受け取ってしまって、こんなの簡単に貸すなよ、と押し返そうとする。だいいち羽織を脱いでしまったら、彼が街中で帯刀しているのが一目瞭然だ。
「持ってて」
軽く突き飛ばされ、マンションの敷地内に尻餅をつく。急発進した車の音がすぐ近くを通り、顔を上げると数人の男達が彼を車の中に引きずり込むところだった。
「大和、」
声を上げようとして、彼が口元に人差し指を立てたのが目に入る。ワゴン車は自分に気付くことなく、彼を乗せて前方へ走り去ってしまった。
時計仕掛けの恋■エピローグは君と――maesaki
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※二次創作用の加賀三文字名義で主催・参加しておりますが、当日は一次創作用の倉田希一として参加いたします。