秋も終わろうとしている冷たい夜。仕事帰りの僕はうらぶれた商店街で、ひょっとこの面の男に呼び止められる。
「これからお面祭りに行くんですが、どうです、あなたもご一緒に」
ショーウィンドウから取り出した童の面をつけ、山道を駆け抜けた先の広場では、様々な面をつけた村人たちがにぎやかに祭りを楽しんでいた。
文庫本を一冊かばんに入れてあてのない散歩をするうち、にわか雨に振られた僕は一軒の古書店に駆け込んだ。
『古書店はてはて』
そこには今まで見たことのないタイトルや作家の本がずらりと並んでいて、店主と話している先客は、ネクタイをした猫だった。
あちら側とこちら側の境界を越えて、僕がこの古書店にやってきた意味とは――
恐竜の女の子が目覚めると、ひとりぼっちでした。夢うつつに、お祭りに行ったときのことを懐かしく思い出しますが、それはきっと夢でしょう。恐竜の女の子は、お祭りなんて行ったことがないのですから。
果てから果てへ歩きながら、ひとりぼっちの恐竜の女の子が、世界とのつながりを見つけていくおはなしです。
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