こちらのアイテムは2020/12/26(土)開催・Text-Revolutions Extra 2にて入手できます。
くわしくはText-Revolutions Extra 2公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

【ハイファンタジー】殉教の街のニール

  • 箱根-65 (ハイファンタジー)
  • じゅんきょうのまちのにーる
  • 萩尾みこり
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 102ページ
  • 400円
  • 2020/12/26(土)発行
  • 【概要】

     神に生贄を捧げる――そんな古い因習が今でも息づく街。そこで生きる少年ニールは、十五歳の誕生日に生贄にされるはずだった。しかし当の儀式は神の怒りにより失敗し、儀式場を中心として地震が起きてしまう。幸運にも軽傷で済んだニールは、これ幸いにとその場から逃げ出した。道中で儀式の真実を知るらしい幽霊からランタンを託され――そして、それが「鍵」であるとなど知らぬまま。  この話はなんだかんだいいつつも、生贄にされかけた少年とその友人が街から脱出するまでの過程を描くだけの物語である。


    ・テキレボEX2新刊です。価格は2020年12月1日現在の予定頒布価格(場合によっては上方の変動がでるかもしれません)
    ・ページ数は表紙込みのページ数です

    【本文サンプル】

    「火種を託そうって言われたんだよ。幽霊によ」
     「ふーん……」

       ライラがランタンに触れようと手を伸ばす。
      まさにその指先がランタンに触れようとしたときだ、バチッと音がする。ライラは訝しげな表情をしているが、ニールにはそれが不思議でならない。ただの冬場の風物詩みたいなものじゃあないのか?  再び、ライラの指先がランタンをとらえようとする。しかし、またバチッと音がする。ライラの指は、それに触れることすらできないらしい。

    「……これ、ニールにしか持てないみたいだねぇ」
     「まじかよ……」

      まじだよ、火花散ってたじゃん。ライラははっきりとそう言った。
      よくよく思い出せば、先程ライラがランタンに触れようとしたとき、たしかに火花が出ていたような気がする。あれはランタンの拒絶の意思だったのだろうか。などという仮説を立ててみるが、ニールには結局そのランタンに触れられるのは自分だけであるという事実しかわからない。考えるのも面倒だ。考えることはライラに任せるに限る。
      そうは思うが。
      思うのだが。

    「あと僕にはこれが呪術具みたいなもんってことしかわっかりませーん」

     ライラは適当な調子で、かつはっきりと答えを出した。

    「はぁ!? お前俺よりアカデミーの成績いいだろうが!?」
    「それとこれとは別。というか? 魔術考古学の教科書でも見ないような文様の道具の詳細が一学生にわかるとでも?」

     ライラが立ち上がる。そしてにじり寄ってくる。ぶっちゃけこれの詳細がわかってたほうが怖くない? などと笑顔で言いながら、ライラがにじり寄ってくる。
      もしかしなくてもキレてるな、こいつ。ニールは思わず両手を上げた。降参のポーズで目を泳がせ、ライラの尋問(ニールにとってはこうも思えている)への返答をする。

    「そですね……」
     「わかればよろしい」

ログインしませんか?

「気になる!」ボタンをクリックすると気になるサークルを記録できます。
「気になる!」ボタンを使えるようにするにはログインしてください。

同じサークルのアイテムもどうぞ

【ハイファンタジー】殉教の街のニール【ローファンタジー】【オカルト】怪異を拾えば猫が儲かる【ハイファンタジー】【手製本】メリー・ウィドウのドレスコード

「気になる!」集計データをもとに表示しています。