この本のご購入はこちらから(購入サイト・2020年12月26日(土)21時~2021年1月11日(月・祝)~23時59分)
一度は食べたい 魔法菓子
いぐあなさん主催のツイッター企画「#Twitter300字ss」(@Tw300ss)で主に発表している、魔法×お菓子×現代ファンタジーな世界観「魔法菓子シリーズ」300字小説のまとめ本。
朝焼けの発泡水・氷の琥珀糖・活字の落雁・不思議な紫陽花……
不思議で美味しい、魔力を含んだ食材で作られる「魔法菓子」の存在する世界での、さまざまな様子を描いた作品集。
※以前発行した「魔法菓子コレクション」分の再録と、発表した作品の再録集です
文庫|56p|300円 <収録作>
2017年10月28日発行「魔法菓子コレクション」より再録(同一内容)◆感情マフィン
◆黄金ゼリィ
◆春風スフレ
◆朝焼けの発泡(ソーダ)水
◆声変わり飴
◆月クッキーにはご用心
◆新春初くじパイの小さな幸い
◆困った氷琥珀
◆飾らないコトノハマシュマロ
◆鮮やかに染まれ飴細工
◆魔法菓子実験・プリン編
2017年10月以降発表作品の再録(同人誌再録初)
◆魔法菓子博覧会
◆砂時計のかき氷
◆手中の欲望
◆しぜんはいいもの
◆ガトー・ビフロストの色彩
◆紫陽花、その手で
◆カラカラと落雁の活字は鳴る
◆憧れのフレアスカート
◆真白の衣装は甘く儚い
◆たまには格好をつけたくて
<試し読み>
【憧れのフレアスカート】 洋裁店の軒先で、それは女の服だからと口早に言われ、強く腕を引かれたあの日。男だがフレアスカートのワンピースを着たいと思い続け早六十年。
時は過ぎ、好きな服は好きに着ても良いのだとSNSや本は言う。
しかしここは片田舎。年寄りには都会に行ける体力もなし。そんなある日、町に魔法菓子店が出来た。大目玉は「天使のケープ・ラム」を使った、服装変化の魔法菓子だ。
「思い通りの服装を、ほんのひととき彩ります」
意を決して口にする。サクサクのメレンゲと甘いバニラの香り。年を取った体にはやや重たいが、心は期待に跳ねる。
鏡の前には、憧れのフレアスカートをまとった自分の姿。
いつ天使のお迎えが来ても構わんさ、とひとりごちた。