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https://text-revolutions.com/staffdaikou/products/detail/2702SoundHorizonの合同誌です。
CDサイズになります。
和をテーマに、イラスト8点+小説1点を載せています。
(表紙はイラストの一部)
麻乃まめは小説を担当しています。
サンホラキャラによる、平安パロです。
メインはRomanの双子とライラです。
和がテーマの合同誌のほか、Vol.2(四季)・Vol.3(花)をテーマにした合同誌も頒布します。
※設定が同じ等のつながりがあるものもありますが、続きものではありません
【試し読み】
『蒼氷の石に眠る』
しゅるりと、御簾越しに衣擦れの音を聞いた。それが気のせいでないことを、月明りに照らされた影が示す。さやさやと風が吹き、影が揺れた。
「お久しぶりですね」
声の主を察すると、表情が強張るのが分かった。少し前に面倒ごとを押し付けられたことを、わたしは根に持っている。隣に座る紫の姫がそっと手に触れた。表情を無に戻すと、反対側から笑う吐息を聞く。紫の姫と青の姫に挟まれるようにして、わたしは座っていた。
「いかがされましたか、と」
そう伝えるように側にいた女房に声をかけた。御簾越しとは言えど、直接話すことも許されなかった時代。
「冬の君はお忍びで会いに来られたに決まってるじゃない」
「そうね、焔の姫にかしら? それともわたしたち?」
双子の彼女たちが楽しそうに笑う。その漏れ出でる声に誘われるように冬の君が落ち着かないように身体を揺らしていた。
「実は、焔のにお願いがあってまいりました。お力を借りたいのです」
焔の姫は不思議な力を持っている――それは、まことしやかに噂流れる噂話。何度かそのようなお願い事をされているわたしは小さくため息をついた。
「わたしでは、解決できないかもしれませんが、お力になれるのでしたら」
両脇の双子からの圧力を感じ、渋々そう返す。彼女たちの想い人が白い髪に青い直衣で笑っている様子が御簾越しでも目に見えるようで、どことなく悔しかった。