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桜樹と一人の男の交流を描いた短編です。
以下冒頭になります。
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序
桜の樹の下には死体が埋まっている!
これは信じていいことなんだよ。
だってよく見てご覧、まるで血を吸ったかのような淡紅色の花びら。肉体が腐乱したかのような禍々しい樹の幹を――。
一
失礼な。そのようなことを言ったのはどこのうつけ者だろう。おかけでわたしに近寄る者はいない。くだらぬことばかり信じる愚か者が多い村だ。
せっかく春のために花開いたというのに、誰も愛でてくれぬなどあんまりではないか。なんと不条理な。
おまけにこの村にある桜樹はわたしだけ。慰め合う仲間もいない。
このようなことならば息絶えてしまおうかと物騒なことを時折考える。だが実行には移さない。簡単にそのようなことができるものか。
誰にも愛でられぬ寂しさと桜樹としての誇り。矛盾した想いを抱くわたしは怠惰に生きていくことしかできなかった。
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