「雨が降ったあとは、崖が滑りやすくなっちょるけえ、気いつけえ」
K君がそう言う。
K君だったかな。もう名前も忘れてしまったな。
それはすごく昔のことなんだ。
K君に先導されて、水晶山へ登った。
「ダメじゃ。死んじょる」
K君がそう言う。
水晶は本来、透明なものだけれど、
この山で見つかる水晶は大抵、
白い繊維のようなものが中に走っていて
あまり綺麗ではない。
そういった水晶のことを、K君は「死んでる」と表現した。
むらたくんのこと、なかむらくんのこと、きのしたくんのこと、しまくんのこと、かとうくんのこと。
いつかの、「水晶山」みたいな詩はもう書けない。
だってぼくは強くなってしまった。
強くなったということは、強くなれないということだ。
もう変われないということだ。
ぼくはここにいて、ここ以外のどこにもいけない。
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