加速する時代に抗うのは、遅れてきた人文知――その革命は、「百科事典」の形をしていた。
いつ誰が生まれ持つとも知れない「魔力を宿した碧眼」によって、人々の運命が左右される世界ノタウィア・マニス。強大な魔力を操り各国の頂点に立つ覇権国家〈帝国〉で、とある書物が波乱を巻き起こす。
『万象の鑑』という名で帝政を真っ向から批判した反体制文書は、かつてなく緻密な技術で編まれた魔術書でもあった……。
『万象の鑑』の正体を探るべく動き出す、〈帝国〉最強の大魔術師・老獪な陸軍元帥ペルグラン。
その裏で密談を重ねる三人の男、ジル、ユベール、ウーヴェ――立場も性格もまったく異なる彼らこそが、大国を覆さんとする大事典の中心を担っていた。
◆序盤の試し読みができます
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http://omni.verse.jp/tome01_sample.pdf】
◆主要人物をピックアップした60秒CM
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https://twitter.com/prabhasa/status/1066296983155949568】
革装本の雰囲気に近付くよう、表紙は画用紙にマットPPを施し、見返しをマーブル紙の印刷で飾りました。
本文には書籍用紙よりもややざらつきのある、クリーム色のコミック紙を使用しています。
本編の内容に即した装丁を含め、物語の世界をお楽しみいただけると光栄です。
はじめての同人誌で拙い点もありますが、自分で好きだったり楽しいと思う要素をたくさん詰め込みました。
===【苦悩するチート鑑賞会エントリー(No.009)】===
(本文より抜粋)
両耳をピアスで飾り、切れ長の眼差しと配置の整った顔立ちは端正な彫刻を思わせるが、褒められたのは素材だけだった。身に着けた部屋着はすっかりくたくただし、乱れた髪や伸ばしっぱなしの髭は手入れを怠っているのが明らかだ。目元の隈と相俟って、いかにも不健康そうな顔色をしている。顔に薄く浮かぶ皺の凹凸は、ウーヴェよりも二回りは年長に見えた。(p21)
(違う。私がしたいのは、こんなことじゃない……)
彼は嘘の吐けない性質ではあったけれども、碧眼の本能に従って動く手は止めようがなかった。(p48)
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