雷火を纏う乙女に、かれは言った。
――抜き身の剣は美しいが、すぐに傷む。
乙女は答えた。
――ではそなたが、剣身を護る鞘となれ。
かれは額づき、乙女に忠誠を誓う。命果てるまで、ともに。
緑なす草原・ライルツ。天と地の神が息づく豊かな草原で暮らすのは、神の力を授かった巫女と神託を受けた長を中心とした素朴な人々だった。
巫女を守る『鞘』の息子ベルクートは、父の背を見て育ち、幼なじみの姫巫女イルーシュカの『鞘』になりたいと強く願う。
神を敬い、巫女の神秘の力に導かれて暮らす村落に、版図を広げんとする都の王の魔手が忍び寄る。
神鳥・雪鷹、都からやってきた異邦人、村を訪れる行商人一家――草原での出会いと別れを通じて、ベルクートとイルーシュカが選び取る未来とは。
民族調異世界ファンタジー。
「鳥散歩」参加作です。
残3部です。再販は予定しておりませんので、お早めにどうぞ。お取り置きも承っております。
試し読みは上記
創作文芸見本誌会場 HappyReading、もしくは
Pixivにてどうぞ。