こちらのアイテムは2016/3/21(月)開催・第3回 Text-Revolutionsにて入手できます。
くわしくは第3回 Text-Revolutions公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

【SF】【歴史】【時代劇】泡盛さん

  • B-11 (ファンタジー)
  • あわもりさん
  • つんた
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 600円
  • 【歴史・時代劇】【SF】酔っ払いの変な話中心・アンソロ掲載の猫はここから始まったと言ってもいい・・・。



    茶トラの猫がいる。白薔薇亭の一室に。

    「えーっと、もしかして、トマス殿」

    「はいそうです」

    少年は、オーナーの弟にしてリース教授の養子のリチャードである。年齢は十二歳、見かけは九歳くらいの小柄な子供。実は中世イングランドの国王だった人間である。そして茶トラのにゃんこは…ブラックプリンスのお取り巻きの一人、ウォリック伯爵だった男、らしい。らしい、というしかない状態だ。

    「わ、私は、ど、どうしたらいいんでしょうか、で、殿下の…」

    挙動不審な茶トラ猫。ベッドの上でうろうろおろおろ…。

    「慌てないで、落ち着いてください、トマス殿」

    「殿下は」

    「落ち着いてらっしゃいますよ、いつものように」

    「は」

    「というわけで行きましょう、階下に」

    ひょいと少年に抱き上げられ、茶トラの猫はパニック状態になっていた。

    「落ち着いて、トマス殿」

    階段をゆっくり降りていくと…いた、猫が、もう一匹。サイベリアンによく似た長毛種の品のいい猫だ。抱えられていた猫も普通の茶トラよりは品がよく見える。

    「なんだ、トマス、おまえもか」

    サイベリアンに似た猫がそう話しかけてきた。

    「で、殿下」

    「ね、大丈夫でしょ、トマス殿」

    少年はそう言うが。

    「どこが大丈夫だ、おまえ」

    白薔薇亭オーナーの元イングランド国王エドワード四世がそう言って溜息をついた。猫同士のお話もしっかり理解出来る弟にドン引き状態。

    「兄上、相変わらずわかんないんだ」

    「猫の話なんかわかるかよーーーっっ」

    「殿下だよ」

    「そうであっても、俺にはわからんっっ」

    「こっちも落ち着けって言うべきなのかなあ…まあいいけど、兄上は放っておいても…」

    「おい、リシィ…」

    オーナーの掛け声はむなしく響くだけだった。

    「いとこ殿―、二人分のキャットフード、よろしくねー」

    「おー」

    料理長・リチャード・ネヴィルの返事にオーナーはますますがっくりする。いつもの事なのだが。

     


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