弟が拾って来たのは羽つきの魚(らしい)で、青年は学生時代の変人を思い出し、少年は蛙を追って道を行き、冬の電車にはカナヘビが乗っていた。「通常」の範疇から外れた生き物達がもたらす共鳴と、ほんの僅かな波紋。
書き下ろし二編と、ネット公開作品二編を加筆修正した、鳥類不在の脊椎動物系(魚類・両生類・爬虫類・哺乳類)掌編集。
亀屋たむ@2015の自己紹介を兼ねた掌編集。ハネウオ(わりとまとも)、ゆきえ(初期の頃)、道行き(会話文0!)、さくらがわ(その辺りのさわさわしたもの)の4つを収録しています。
1 ハネウオ
Web公開版
2 ゆきえ
Web公開版
3 道行き
してはいけない事。一つは火を使う。一つは水の出しっ放し。最後の一つは飛び跳ねる事。あとは何をしたって構わない。(本文抜粋)
4 さくらがわ
刹那、音が消えた。視界を埋め尽くす花、花、花、花――。緩やかな陽射しが明滅し、優しい煌めきが真っ直ぐに目を貫いた。この場の全てを茫洋に色付けるのは白い花弁で、落ちる影さえ光になっている。(本文抜粋)