こちらのアイテムは2015/10/10(土)開催・第2回 Text-Revolutionsにて入手できます。
くわしくは第2回 Text-Revolutions公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

京子センセの診察室

  • B-12 (ライトノベル)
  • きょうこせんせのしんさつしつ
  • きと
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 36ページ
  • 200円
  • http://www.pixiv.net/novel/sh…
  • 2015/10/10(土)発行
  • 【裏表紙あらすじより】 ※百合です※

    女医の京子さんと看護師のくるみちゃんは職場には内緒の恋人同士。
    残業で遅くなった二人きりの診察所で、
    「お前、その(大きい)胸なんとかしなよ」
    と京子さんが突然言い出した。
    「セクハラですよ、先生っ!」
    ラブラブな二人のいちゃエロコメディ❤

    【冒頭見本】


     裏口のドアが慌ただしく開閉し、短い廊下を小走りで向かってくる足音がする。京子は手にしていたカルテから目を上げて、その音の主の帰りを黙って待った。
    「先生、おでん買って来ましたっ」
     何をそんなに急ぐ必要がある、と言うように息を切らして診察室へ戻ってきた看護士の笑みが、すぐさま渋いものに変わる。
    「またそんな格好でっ。ダメじゃないですか、はしたない」
     まるで小姑の如く眉根を寄せて睨んでくる彼女に、京子はボールペンの尻でこめかみを掻きながら自身の体勢を省みた。
     パンプスを脱ぎ捨てた足をデスク横の寝台に投げ出した上、しかも片膝を立てているものだから見る角度によってはスカートの中が丸見え。窮屈な白衣も、今は背もたれと腰の間でしわくちゃになっている。一見だらしがないOL、と称されても仕方がない風体なのだが、これでも〝女医さん〟と呼ばれる立場にいるのだから人は見掛けによらない。
     京子はフゥと天井に向かって息を吐き出すと、束ねた黒髪の毛先をチェックしながら小さく言い返した。
    「いいじゃないか、もうくぅしかいないんだし……うるさいな」
    「うるさい? うるさいとは何ですか、この寒空の下ご飯を買いにコンビニまで行った人間に向かって。もっと感謝してください」
     くぅ、と呼ばれた看護士――くるみは唇を尖らせると、着ていたコートをハンガーに掛けながら、京子の二倍、小言を返してきた。それにまた、溜息を吐き出して幼稚な反論。
    「うーるーさーいー」
    「うるさいしか言えないんですか?」
    「だって、うるさい」
    「ウチに来るお子さんだって、もっとボキャブラリーありますよ」
    「……うるさいよ」
    「あー、ほら。またウルサイって言った」
     からかうように笑うくるみを椅子から見上げると、彼女はコンビニで購入してきた遅い夕食の準備をしている所だった。とは言え、肉まんやおでんと言う簡素な食事。準備と言えど、せいぜいがカラシを器の端に出して箸を割る程度だ。
    「……手ぇ出して」
    「何ですか、いきなり」
    「いいから」
     ヒラヒラと頭上で手を揺らすと、くるみがそれを両手で握り込んでくる。その爪の先まで冷え切った小さな手に、京子はボールペンを置いて居住まいを正した。そして、ほら、と両腕を広げる。
    「な、何ですか」
    「おいで」
     その言葉に、寒さで白くなっていたくるみの頬に朱が差した。戸惑うように周囲を見渡して、少し拗ねたように呟く。
    「私……今、冷えてますよ? それに……」
    「あっためてあげる」
     リップしか塗っていない唇を綻ばせると、くるみも照れたような笑みを漏らした。ゆっくりと京子の膝に腰を下ろそうとするのを止め、そうじゃないだろ、と一言。足を揃えて座るな、と叱るような口調でくるみの行動を正し、再度「ん」と両腕を広げる。
    「……先生、エロオヤジじゃないんですから……」
    「せめて男性脳と言え」
    「言えませんよ」
     全くもう、とブツブツ文句を言いながらも、くるみは京子の言う通り、腰を跨ぐようにして彼女の膝に座り直した。いくら看護士の制服がズボンだとは言え、やはりこのような体勢には抵抗がある。足を開くのもそうだし、シャツの前をぴっちりと張らせている豊満な胸が、丁度京子の顔の近くに行くのである。彼女にしてみればこれが良いのだろうが、その思考がエロオヤジなのだ、と何度言えば分かってもらえるのか。思わず溜息。
     一方の京子は、女の身空でエロオヤジ呼ばわりされた事が当然腹立たしく、嫌がらせのように胸に顔を押し付けてやった。
    「ひゃあっ!」
    「あー……癒されるー……」
    「先生っ!」
    「何だ」
     顔を伏せたまま、手に収まりきれない胸を撫でていると、パシパシッと肩を叩かれた。
    「そんなつもりなら離して下さい!」
    「嫌」
    「もぉ……っ」
     呆れたように息を吐き出すくるみだが、その表情は決して怒ってなどいない。ただ子供をあやすように京子の背を撫でながら、彼女の気が済むのを待ち続ける。こんな事はいつもの事だし、本気で怒るような行為でもない。それに、今日は患者が多かった上に人手もなく、彼女も疲れているのだろうから。これくらいは可愛いと思える範囲だった。

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