210ページ鬼。
その存在は畏れの根源であった。
人々は鬼に取り憑かれぬよう、祈り、念じ、時に震えながら日々の生活を送っていたのだった。
時を同じくして、鬼を祓う少女の姿があった。
紅葉色の着物をまとい、六尺三寸の薙刀を片手に、立つ。
その少女の頭には、二本の角が生えていた。
ひのもとおにこ――鬼でありながら、鬼を斬る、異端の鬼。
少女は鬼からも、そして人間からも、忌み、嫌われていた。
その一方で、高校生のオタク女子、田中匠は悩んでいた。
「……乳について語りてえ」
朝目が覚めて、開口一番、何かがおかしい。
電車で女性を見ると、その胸をエロオヤジのごとき視線で食い入るように見てしまう。
今までは、これほど積極的に見ることなんて、なかったのに……。
鬼の少女と、オタク少女が出会いからはじめる、和風ファンタジーの序章。
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=424266 表紙は日本鬼子キャラクターデザインを担当したNo.015氏。
その他、さなだ氏、時の番人氏(現:時丸氏)、陰の人氏の手掛けた挿絵を収録。