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【ハイファンタジー】ひとえじゃ薄くて走れない

  • ひとえじゃうすくてはしれない
  • せらひかり
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 60ページ
  • 300円
  • 2020/05/16(土)発行
  • 追記
    出ました
    URLに試し読みあります
    試読巡り参加中→
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13040293
    追記おわり



    出るか未定の仮作成です
    本文はウェブ公開予定

    コピー本かも。

     藪の中で屈み込む。足裏は泥だらけ、草で切ったらしくあちこちが痛んだ。

     松明のにおいが強く流れる。

    「いたか!」

    「見つからない、どこだ? たかだか貴族の姫だろう。走れるわけがない」

     その通り、と歯噛みする。もう息が切れている。先月までは元気いっぱい走り回っていたというのに、このありさまだ。

     身震いする。

     着せられていた十二単の布は薄く、何枚も重ねないと風通しが良すぎて夜は寒い。重ねてあれば、それなりの暖かさだ。それを屋敷の中に脱ぎ捨ててきた。急いでいたとはいえ、失敗した。

    「この暗さだ、もののけでもあるまいし、屋敷から出てはいないのでは?」

     衛士たちが屋敷に引き返す。ほっとした瞬間、誰かがこちらへ戻ってきた。

     迷わず、藪へ入り込み、こちらの目の前に膝をついた。

     若い男だ。こんな者、屋敷で見るのは初めてだった。

    「これは奇妙な……」

     男が眉をひそめる。慌てて顔を背けたが、男の扇が頬を捉えた。検分される。

     どう言い返すか。震えていると、男が息を吐いた。

    「ここしばらく、この屋敷の姫君の寝所に血痕があり、僧侶や陰陽師が呼ばれる事態となった。姫君は大事ないと言い張るが、父親である屋敷の主人は徹底的に防備を固めることにした……が、今宵、姫君が行方知れずとなった。もののけにでも攫われたように」

    「犯人は私じゃない!」

    「それは知っている。見たところ、君の爪と牙は短すぎる。これまでの血痕は、色がひどく鮮やかだ。もっと深く抉らないと。もちろん、爪や牙を使う必要はないだろうけれど」

     男がため息をついた。美女めいて見える美しさだが、細身でも体格で男と分かる。

    「しかしまぁ見事なこと。獣の耳か。目は光らないが、闇でも支障ない?」

    「多少は」

    「では灯りがなくても構わないね。もののけ憑きというより、先祖返りかな」

     男が立ち上がった。

    「その薄着ではこんなところに長居できないでしょう? おいで」

     信用できるわけがない。けれど男がぱちん、と指を鳴らすと、体が勝手に立ち上がり、よろよろと男についていく。

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