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「一葉一荷、雨季明けの王都より」
https://text-revolutions.com/event/archives/13513 「夏の支度と運び屋の魔術師」
https://text-revolutions.com/event/archives/13546 民族の慣習差異は国家の成熟と共に均され、強きに従い弱きが滅ぶ理にある。
しかし魔晶力の扱い方に関しては様相が異なり、国内のあらゆる民族魔術を比較する研究者の努力により、民族の強弱ではなく純粋な質の善し悪しで選別され、一国の標準魔術として体系化される理性的な歴史を辿っている。
これはアイシェルト王国においても同様であるが、内包する民族の多さと細かさ故に体系化には長大な時間がかかり、周辺諸国と比べて大きく出遅れていた。
そんな中、貿易外交と軍事圧力により併合した北部国境地帯フレクサンドラ地方で高度に発達した魔術を基礎としてようやく確立されたアイシェルト王国魔術は、国防軍においても活用推進が進められ、軍籍魔術師の任用は年々伸びている。
そしていよいよ魔術師だけの部隊編成を実験するため、魔術飛行特殊作戦試験部隊――通称、クルヴァヤ試験隊の運用が始まった。 初期人員として集められたメンバーは、どうも軋みしか見えない顔ぶれと組み合わせ。
類似任務で親友を失ったばかりの隊長
箒に乗れない天才
衛生兵上がりの医官魔術師
真面目な海軍籍優等生
箒に乗るしかできない新米
これは完全に実験台になった彼女らの、交流と模索の物語である。
<主要登場人物>
◎エルデ=ラースタチカ・エルダーステンプ
箒に乗ること以外満足にできない新米。二等魔術兵。クルヴァヤ試験隊所属。
長距離配達を生業とする村の出身で、その中でも特に飛行に長けた者だけに与えられる”ラースタチカ”の名を受け継ぐ。基礎魔力と一般常識、上官への礼儀を持ち合わせていない。悪運だけはめっぽう強い。
◎ユジノ・レネンモリト
箒に乗ること以外ならなんでも完璧にこなす士官魔術師。中尉。クルヴァヤ試験隊副隊長。
出世の必須要件として前線部隊に放り込まれたのが運の尽き。
戦場では部下(エルデ)の背中にしがみついて絶叫しながらも的確に軍用魔術を叩き込むなど根性と天才性を見せつける。高い魔術適性と魔力に知識、家柄を有しているが、ちょっと運が悪い。
◎ サルネラ・シューライズ
なんでもそれなりにそつなくこなす士官魔術師。少佐。クルヴァヤ試験隊隊長。
初任からずっと前線勤務だが役割は後方支援が多く、前回配属先で初めて戦闘を経験するも、魔術制御型戦闘機での空中戦で大隊が壊滅、同乗していた親友の士官魔術師を失う。その後半年の療養を経て現職。
◎アイリ=レチェーニー・マリアトライ
衛生兵から魔術兵を経て医官へと華麗なる転身を遂げた士官魔術師兼医官。准尉。クルヴァヤ試験隊専属医官。
殉死した軍人の遺族が暮らすレチェーニー拠点で育ち、両親と同じ道を辿って衛生兵になるも色々あって今に至る。他に同様の経歴の者がいないため、便宜上医官と士官魔術師の併任発令されている。
◎トーリ・サルザップメイル
一通りのことはこなせるが型にはまってしまうことが多い優等生。一等魔術兵。クルヴァヤ試験隊で唯一の海軍籍。
遠方巡洋艦に乗務していたため、陸での集団生活に不慣れな点が多く、宿舎では後輩のエルデに助けてもらうこともよくあるが、本人はそれを恥と思っている。