「あんなに好きだったんだけどねぇ……」
そう嘆いているその口ぶりは装いなど一切なく、とても気楽そうであった。
飾っていたその姿もよかったけれど、そんなに気を張っていたら疲れないかな。
「だったら……」
と言いかけたその先が出てこなかった。
こっちへと飛び込んで。
遅くはないから、視線を合わせようよ、ずっといい心地を与えられるよ。
そんなことを言おうとしてもう何度目だろうか。
「ん?」
「だったら、アイツのことなんて忘れて……その……目の前の相手を見たら?」
次に気付いたときには、目を丸くする姿が目の前にいた。
あぁ、とうとう言ってしまったようだった。
後悔していたところに現れたのは、満面の笑みと、嬉しそうにコクリと頷く姿だった。
そんな、突っ伏して泣いていた姿を終わりにした日は、今では昔の話。
今ではこんなにも好きになって隣で聴いていた声が、前よりも名前を呼んでくれている。
常にある今よりももっと愛していき、喜びも悲しみも二人で分かち合いたい。
ちょうどいい感度であり続けたいんだ。こちらのブースもいかがですか? (β)
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