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【ハイファンタジー】【恋愛】海の歌声

  • うみのうたごえ
  • 深海いわし
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 56ページ
  • 500円
  • 栄華を誇ったセインの都は、悪魔に魅入られた王女の手によって、一夜にして海の底に沈んだという。王家の末裔だと代々語り伝えられてきた漁師の家に生まれたフェリクスは、嵐に巻き込まれて幼い頃から繰り返し夢で見ていた宮殿に流れ着く。荒廃した遺跡の中で、夢で恋い焦がれていた少女を探すフェリクスの前に現れたのは―
    ドビュッシーの「沈める寺」をモチーフにした読み切り短編。

    表紙イラスト:風海さま
     http://kazami395.tumblr.com/

    【本文サンプル】
     暗い海には嵐が吹き荒れていた。二人乗りの粗末な小舟は荒れ狂う風と波に翻弄され、船の縁にしがみつく二人の男にはもう上も下も右も左もわからない。横殴りの雨は頻繁に吹きつける方向を変え、そのたびに木の葉のように小舟は回る。
     白い飛沫の冠を戴いた蒼黒(そうこく)の波濤は、情けを知らぬ暴君のようだ。時折鋭い稲光が嵐の夜を切り裂いて、巨大な波が描き出す不気味な陰影を鮮烈に目に焼きつける。
    「フェリクス!」
     小舟にしがみつく人影の一つが、しわがれた声で叫んだ。暴風雨と波音に阻まれて、呼びかけられたもう一人にその声は届かない。わかっていながら、男は叫ぶ。
    「聞こえるか、海の魔女だ!」
     雷光が世界を白と黒とにくっきり塗り分ける。風と波の音すらも掻き消すように、雷鳴が轟き渡る。
    「おれにも終わりが来たんだ!」
     絶望の叫びは、小舟もろとも、ひときわ高く襲いかかった波に呑み込まれた。

     フェリクスは地の果てと呼ばれる辺境の漁村に生まれた。隣の村と、せいぜいその隣の村辺りまでが、陸地におけるフェリクスの世界のすべてだった。
     フェリクスの世界は海に向かって開けている。
     まだ夜の明けきらぬ頃、朝靄の煙る海へ父親と二人で漕ぎ出すのがフェリクスの日課だ。海は色とりどりの宝石のような魚をフェリクスと父へ贈り届けてくれる。
     瑠璃よりもなお濃く鮮やかな青色をしたタマルリウオ、夏陽見花(なつひみばな)より明るい黄色と白ウサギの瞳よりも濃い赤の縞模様をしたヒメコウギョク、七色に光るとげを持ったナナイロチドリ……。

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