夏・水・少年少女・(人)魚・つれていかれる
そんなキーワードを共通項にした三作品が収録された短編集です。
以下掲載順に紹介
・十五のあ(書き下ろし)祖父の住む村にある、人魚がくるという磯浜を半信半疑で訪れた少年・玄。
思いがけず本当に人魚と出会ってしまう。
十五歳になったら行ってはいけない、という言いつけを守らずに、帰る日の朝三度目の逢瀬に向かう。
・弔いのりんご飴髪に海を飼う呪いを受けた友人のことを、夏祭りの夜に思い返す話。
神社までぞろぞろと動く浴衣の波を見て、まるで葬列だと思った。もうじき終わる夏を弔うために人が集まっているのだ、と。
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https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13472757web夏企画参加作品
・白い魚同級生の腕に鱗があるのを見つけてしまった少女・三枝律子と、鱗があらわれてしまった少年・衣魚(しみ)京介の秘密を共有する夏休み。
「ねえ、鱗はいつからなの? 私今日まで気づかなかった」
京介の話よりも自身の興味にまっしぐらな律子に、彼の目はまたまるくなった。そして吹きだすように笑ってから
「明日、魚女池で待ってる」
約束を口にした。知りたいことを教えてあげるよ、と。その夜、律子は宿題がほとんど手につかなかった。
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