「はい。自分は女王国海軍兵です」 「ここは帝国じゃないって、でも大丈夫だよってお母さん言ってたけど……僕どうなるの?ホリョになっちゃうの?」 お母さんは大丈夫だって言ってたけど、帝国人が女王国になんて来たらきっとホリョにされて殴られたり苛められるってマニが言ってた。 あれ、でもアル兄ちゃんは優しいし遊んでくれるしお医者さんの注射はちょっとチクッとするけど怖くないし……あれ? 「あなた……ええと、エドとエドの母親……お母さんは捕虜ではありません。エドは何も悪い事はしていません」 「……本当に?」 「はい。Life is like a box of chocolates: you never know what you're going to get. ということです」 「えっ?」 何を言っているのかわからなくて聞き返した僕の手をとって、アル兄ちゃんは掌の上に何かを乗せてくれた。 (“霧明かりの記憶”より抜粋)