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日没する国の天使

  • ひぼっするくにのてんし
  • 藤和
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 44ページ
  • 500円
  • 2018/03/03(土)発行
  • とある修道院で暮らす4人の少年。
    閉ざされた世界で生きる静かな毎日。この日々はいつまで続くのだろう。

    --本文サンプル--
     

     その日、ふたりの少年が修道院の門をくぐった。ひとりはラズベリー色の髪をおかっぱに切りそろえ丸眼鏡をかけ、 見るからに裕福そうな服を着ている。もうひとりは、長い藤色の髪を後ろで束ね、 きちんとしてはいる物の平民の服を着ている。
     ふたりは聖堂の祭壇の前で、司祭様の言葉を待っていた。祭壇の前には司祭様と、それを挟むように、 修道士見習いの少年がふたり立っている。片方は若草色の髪を短くまとめていて、 もう片方は白銀色の髪を編み込んで軽くまとめている。
    「君たちの洗礼名は?」
     緊張した面持ちで立っている少年ふたりに、司祭様が訊ねる。丸眼鏡をかけた少年は、 緊張しすぎているのかすぐに答えられない様子だったけれども、その隣に立った藤色の髪の少年は、 はっきりとした口調で答える。
    「俺はタリエシンと申します」
    「そうか、タリエシンだね。そちらの君は?」
     再び訊かれたからかタリエシンと名乗った少年が答えたからか、もうひとりの少年も硬い口調で答える。
    「僕はマルコと申します。これからよろしくお願いいたします」
     すると、司祭様はにっこりと笑って、この修道院はふたりを歓迎するという旨を伝える。そうしてから、 今司祭様の両隣に控えている修道士見習いが、それぞれ困ったときなどに相談することの出来る、 面倒見役である事を教えてくれた。
     白銀の髪の彼を指して、司祭様が言う。
    「彼の名はアマリヤ。タリエシンの面倒はこの子が見てくれるよ」
     軽く礼をするアマリヤと呼ばれた修道士見習いは、タリエシンやマルコとさして年が離れてはいないようで、 つまりはまだ少年と呼んでも差し支えは無い。
     若草色の彼を指して、司祭様が言う。
    「彼の名はエルカナ。マルコの面倒はこの子が見てくれるよ」
     エルカナと呼ばれた修道士見習いも、軽く礼をする。彼もやはり年の頃は離れていないようで、 少年と呼ぶには十分な若さだった。 司祭様は、アマリヤとエルカナに、 タリエシンとマルコを案内して修道院の中の説明をするようにと命じる。ふたりは短く簡潔に返事を返し、 これから案内するふたりの方に向き直った。
    「それでは、ご案内しましょう」
    「慣れないところで不安かもだけど、大丈夫だから」
     優しげな微笑みを浮かべるエルカナと、明るい笑顔を浮かべるアマリヤ。それを見てタリエシンもマルコも、 ここに来るまでに抱えていた不安が少し降りたようだった。
     司祭様に礼をし、四人は聖堂から出て、修道士達が寝泊まりをしている建物へ向かった。これからはここが自分の家で、 沢山の兄弟達と共に、神様の元で生きるのだと、やって来たばかりの少年ふたりは思う。
     わからないことは沢山有る。けれども、アマリヤとエルカナは素直に頼って良いと言ってくれているので、 これから上手くやっていけるような気がした。


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