早く早く息絶えますようにと願ったけれど父親は死ななかった。その代わり母親が死んだ。冗談みたいな葬儀のあと、シオンは母と二人で住んだアパートの片づけをする。ヨウコとナオミが泊まるからだ。父親との縁を切れない姉のヨウコと、唯一殴られずに育った妹のナオミ、シオンはどちらも家族と思えない。学生時代に暮らした京都に帰り、鴨川沿いを歩いてみるが、ヌートリアはいなかった。上質な毛皮のために輸入・繁殖されたヌートリアは、今では駆除の対象となっている。それを教えてくれた元恋人とも連絡がとれないままだ。三万円ぽっちでは誰も救えない、神だっていない、でもルツさんだけは。溺れるように逃がれながら、シオンは自分だけの神様を探す……。
文庫本/80ページ/500円
染よだか
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