こちらのアイテムは2019/3/21(木)開催・第8回 Text-Revolutionsにて入手できます。
くわしくは第8回 Text-Revolutions公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

夢のように、おりてくるもの

  • A-05 (手製本・豆本・絵本)
  • ゆめのように、おりてくるもの
  • 磯崎愛
  • 書籍|A5
  • 92ページ
  • 300円
  • http://karakusaginga.blog76.f…
  • ウェブ連載して好評いただいていた作品のオンデマンド印刷本です。3部構成で完結した2部までしかこの冊子には収録されていませんが、読んでいただければ磯崎が現代ものとして書く世界観 ―― 夢使いが存在する ―― や、その向かおうとするところを理解いただく助けになるのではとラインナップしました。その本編のほか「春夢揺曳(はるのゆめただよひ)」 ※WEB未掲載短編 も収録されています。以下あらすじと試し読みです。

    あらすじ
    「夢使い」を生業とする主人公と大学生、ふたりの関係を都会のコンビニを舞台に描いています。そこは視界樹が夢を育みひとにおろす「視界」と呼ばれる処。そのあがないの立会人である「夢使い」の友情と恋の物語。

    ☆試し読み☆
     わたしの一日は、夢秤の調整からはじまる。  
      夜のうちに降ってきた夢は、その香音の振れ具合で秤の傾きを変えてしまう。先週この安アパートに越してきた起業家のおかげで、わたしの仕事道具は悪夢のほうに傾きやすい。寝る前に悪戯をして少しばかり心棒をずらしておいたのに、滑稽なくらい斜になっている。
     どうやら昨夜、隣の男にはよい夢が降りたようだ。アーモンドに似た甘い匂いが残響にうっすらと揺曳している。彼はいま、夢から醒めたに違いない。わたしは髪をふりはらい、その芳香を胸いっぱいに吸いこんでベッドからおりた。
      ふと、この傾斜具合を誰かに見てもらいたいと秤を直す手をとめてみたが、誰に見せるあてもない侘びしい独り暮らしだ。そしてまた、週に一度、依頼があればいいほどの「夢使い」稼業より、日々の真面目な勤労のほうが大事ではないかと、そんなふうにも考えた。田舎にいたころならば思いもしなかったような発想だ。
     よって、わたしは不精した。一日くらい怠惰をしても秤の調子が悪くなることはないと決め付けて、金と銀に輝く夢秤をそのままにして家を出た。
     都会では、夢使いの居場所はたくさんある。たとえば、わたしのようにコンビニエンスストアのアルバイト店員などだ。






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