小学校のときの好きな人の嘔吐が忘れられない女は、大学のゼミ飲み会で、好きで好きでたまらない男の嘔吐を拝もうと奮闘する……!(西島くんの嘔吐が見たい!)
他、斜陽のアクアショップで迎える諦めと終わり、顔を取り外した女と友人のささやかな復讐、「死」に怯える男とやりきれない青春など、ままならない日々を生きる絶滅危惧種たちのための短編集。
15000~25000字程度の小説四編からなる作品集です。
収録作説明
・顔をたずさえ(こちらから全編試し読みできます→
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886578002/episodes/1177354054886578026)
「それに腹を立てて大きな声をあげたほうが負けになるんだよ」とある理由から、地元にて中学時代の友人と再会することになったアラコ。しかし、その友人であるエリカは、顔を『取り外して』いた。思い出をなぞっていくなかで見えてくる、彼女たち二人の通り過ぎてきた地獄とは。
顔を取った女とその友人がおこなう、ささやかな復讐と清算の話。
・飲み込まれるムジカ「ちょっと踏み外せば、簡単に見えるものなのに。お前らが踏み台にしているものが、いかに情けなくてやるせなくて、醜いものなのかということが」ショッピングモールのトイレの中。主人公ヒロセは突然『死』の光景と恐怖に苛まれて動けなくなってしまう。その日を境に、彼の周りで溜まっていた淀んだものが溢れ出していく……
多くの人が触れていたはずなのに見ないふりをして忘れていく、暗くて淀んだ青春。
・死にゆく魚と水槽の距離「扱う命は全て商品だから、適切な距離を保たないと潰れてしまうよ」潰れかけのアクアショップ。きらきらしていた過去の思い出と、やるせない気持ちをかかえながら、主人公はそこでバイトをしていた。そんな彼女の前に、ある日『サイフォンマン』が現れて……。
斜陽のアクアショップで迎える、諦めとなにかの終わり。
・西島くんの嘔吐が見たい!※作者イチオシ
「見てろよ西島くん。今日こそ必ず、お前が思いっきり嘔吐する瞬間を拝んでやる」 小学生のときに見た、好きだった男の子の嘔吐が忘れられない主人公セリカ。しかし大学にて、その気持ちを甦らせる人物、西島ケイが現れる。そして迎えたゼミ飲みの日。セリカはお酒が苦手な彼の嘔吐を(合法的に)見ようと奮闘する。次から次へと波乱が起きる中、ゲロを求め奔走する、セリカの運命は……。
最高に汚い、愛についての話。