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The Stranger of Short Story

  • A-30 (現代)
  • すとれんじゃーおぶしょーとすとーりー
  • 梓野 みかん
  • 書籍|新書判
  • 98ページ
  • 300円
  • 2018/6/17(日)発行

  • 全力の短編、四本入り!
    各話の冒頭は以下な感じです。

    ●雪かきをしながら思う、カレのことや雪のこと。……『暖国に告ぐ』

     ハラがたつ。
     雷奈は雪にスコップを突きさした。二日前からやってきた寒波のせいで、降り続く雪はすでに雷奈のヒザまで積もっている。しかしそれ以上に雷奈が気に入らないのは、同じく二日前に、寒波と入れちがいでこの田舎町を去っていった、転校生のカレのことだった。この雪が、カレの残した最後っ屁のように思える雷奈にとって、こうして黙々と雪を処理しなければならないことは、まるで屈辱だった。


    ●テルミン・午後三時は、探偵事務所の留守番である。……『D棟に謎はふりつむ』

     『世界にもう謎はない!』
     とはいえ、D棟に謎は尽きない。
     『ジョン・スミス・星照探偵事務所に何でもどうぞ!』
     何でも、などとは、とうてい実情にそぐわない。
     ラジオから流れ出る、安い宣伝文句と大げさな効果音が、ノイズまじりにジョン・スミス・星照探偵事務所内に響く。
     応接セットの固いソファに座り、ペンと学習ノートを抱えた一人の子どもが、緊張気味に口を開いた。
    「……じゃあ、つぎのしつもんなんですけど、ええと」
     テルミン・午後三時さん、と子どもは目の前の男をそう呼んだ。


    ●運動会のリレーに寄せる、四人の気持ち。……『このあらし、ふき荒れよ』

      台風になろうよ、とカオルコは言った。
      四人で巻き起こそう、とコムギコが言った。
      吹き飛ばすのね、とスミレコが言った。
      そして残すんだ、とトネリコは言った。「この爪痕を」

     第一走者・トネリコの表明
     私トネリコは、このたびの運動会で行われるクラス対抗リレーにおいて、我が六年二組の代表として出場するべく、立候補することをここに表明いたします。


    ●ダンナの遺した本を処分する。……『しおりがわり』

     よく挟まっていたものだ、と思う。
     エンピツ、ボールペン、定規、チラシの切れっぱし、アイスの棒(ハズレ)、アイスの棒(アタリ)、訪問販売の営業の名刺、宗教関係の勧誘のブックレット、自動車メーカーからのダイレクトメール、十円玉。
     それは亡くなったダンナの本から出て来た、しおりの代わりとして挟んでいたものの数々である。


    こたつ読書のお口直しに。

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